「九瑠璃、舞流。いつまで付いてくる訳?」
短時間の間に溜まったストレスをぶつけるような乱雑な仕草で白く細い手が服を掻き分ける。

新しいワンピースが欲しいと豪語していた臨美が覗くのは白やベージュを基調とした春めいたデザインのもので、清楚なレースは俺好みだしこいつにも似合いそうだ。
「ひっどいなー。可愛い弟達ともっと交流しようと思わないの?臨姉は!…それより静雄さん、こういう可愛子ちゃん路線より臨姉にはセクシーな方が似合うと思わない?」

そんな俺達の前に舞流が差し出したのはオフショルダーで胸の露出したミニワンピースで、目の前に掲げられたそれに臨也の動きがぴたりと止まる。

「な、にそれ。露出高すぎ。シズちゃんは可愛い系が好きなんだよ!ね!?」
「え?あ、ああ」
確かにオフショルダーのそれはこいつの滑らかな肩の線を綺麗に出すだろうし、露出した胸元とすらりと伸びた脚は目を楽しませるだろうなんて考えていた俺はむきになった様子の臨美に押されるように頷いた。
それを見たこの双子も黙ってはいない。


「そうかなぁ?静雄さんも実際見たら考え変わると思うけどな。…て訳でハイ、臨姉」
「試…(試着してきて)」
「は?!やだよ、こんなの」
服を押し付け強引に試着室に押し込もうとする二人に臨美も抵抗を見せるのだが、弟とはいえそれなりに成長した男二人の力に敵うはずもなく。

「…ここで脱がせるよ?」
最後は若干聞き捨てならない舞流の一言で臨美は試着室へと入って行ったのだった。












「やっぱり似合うじゃん、臨姉!」
「愛(エロ可愛い)」
数分後、試着室から出てきた臨美はシンメトリーの賞賛を受けて気恥ずかしそうに顔を背ける。
成る程確かにそれはこいつの細いながらも適度に成長した身体の線をはっきりさせていて、蠱惑的な魅力をよく引き出していた。
浮き出た鎖骨から首筋にかけてのラインや細い肩、胸元、と普段は隠されている所が露出しているのはなかなかそそるものがある。
スカート丈が予想以上に短いのが気になるのか臨美は頼りない裾を懸命に引っ張るのだが、それが逆に眩しい太腿に注視させてしまうとは気付いていないのだろうか。

「シズちゃんは…こういうの、好き?」
「…え?あー、まあ、悪くないんじゃねぇの」
「ほら!やっぱり気に入らないんだよ!」
素直になれない自分自身を恨めしく思いながら曖昧に言葉を濁すとしてやったりとばかりに双子に向き直る臨美。

「そんな事ないよ。こぉーんなエロい臨姉、気に入らないはずないですよね?静雄さん」
「気(絶対気に入ってる)」
「え?ちょ…ッ!」
それが面白くなかったのだろう双子は不意に姉の手首を捕らえると臨美が必死に下げていたワンピースの裾を挑発的にひらめかせる。慌てた臨美がもがけばもがく程、下着が見えてしまいそうな微妙なラインを行き来して。


ぷつり、と切れたそれはいつも通りの堪忍袋の尾ではなかった。





(すんません、これください。着たまま帰りたいんですけど)














双子の策略にまんまとハマるむっつりな静雄さん。ちなみに臨美さんは池袋に来る時は常に勝負下着ですが、パンチラするのと見せるのは話が別のようです(笑)










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