※Attention
・デュラララがドラマだったらシリーズ
・静雄が臨也の後輩です
・臨也が普通に好青年(のつもり)
・つまりはキャラ崩壊にも程がある

以上が大丈夫な方はどうぞ(^^)















『いーざーやぁぁぁ!!』
ギミックの軽い自販機を持ち上げて獣のように咆哮を上げる。そのまま思いきり投げたそれは真っ直ぐにその人のところへ飛んで、そして。





「はい、カット!一旦15分くらい休憩挟もう!」
監督からの鋭い一声に途端に張り詰めていた現場の緊張が緩んだ。いくら軽量とはいえ大きな自販機を模した物を力一杯の投擲した俺は無意識に溜めていた息を吐き出してセットから出る。

「お疲れ、静ちゃん」
「臨也さん…」
と、そんな俺の横から涼やかな声を響かせたのは同じ現場で働く折原臨也さんでその白く細い手にはコーヒーのカップが握られている。
ごく自然に差し出されたそれを受け取ると目の前の彼に促されて俺達は休憩用の椅子に腰掛けた。


臨也さんは俺の事務所の先輩にあたる人で、子役の頃から天才と謳われ活躍してきた生粋の役者だ。一方の俺は元々モデル上がりで今回のレギュラーが2回目の演技。
監督の方針で演技経験関係なしにイメージにあった奴の起用をしたとの事だったが、最初は何故天才・折原臨也の敵役が俺なのかと首を傾げたものだった。

「それにしても、静ちゃんもだいぶ俺に物を投げるのが上手くなったよね」
クスクスと笑う臨也さんはテレビの中でのクールなイメージとは違って、随分と柔らかい印象だ。
「でもまだキツいっスよ、先輩に物投げつけるなんて」
「演技の中でなんだから、気にしなくたっていいのに」
真面目だなぁ、なんて笑う臨也さんは続けて自分が後輩に水を引っ掛けられた時の話まで笑い話として出して、俺の気持ちを緩めようとしてくれるのがわかる。
本当に、出来た人だと思う。

上下関係が厳しく周りはみんな敵なんて事がざらにあるこの業界で、先輩風を吹かせるどころか常に周囲の雰囲気を読み取りその場に見合った行動をして、尚且つ明るい空気にしてしまう。

彼と仕事をした人はみんな再びの共演を望むというが、それは当然の事だろう。

(本当、何でこの人が嫌われ者の役なんだか。)

今回のこのドラマは池袋を舞台に首無しライダーのデュラハンや怪力男なんてファンタジーも盛り込んだ日常と非日常を題材にした作品で、俺はファンタジーの一部たる怪力男の『平和島静雄』、そして臨也さんは俺の宿敵という立ち位置。

役者選びと同じく監督の意向により全てのキャストが本名で出演する中の『折原臨也』は新宿を拠点とする情報屋で、その美しい容貌と甘言を武器に人を騙すわ使うわ弄ぶわと、とんでもない男だ。

当然俺が演じる『平和島静雄』は『折原臨也』が大嫌いと豪語しているし、作中に出る妖刀や部下にも嫌悪を露わにされている。
実際には正反対な人柄にも関わらず、だ。

ギャップを狙ったにしても酷い対称っぷりは確かに視聴者の心を鷲掴みにするだろう。


(容姿端麗ってとこだけは、一緒なのにな)
真剣に台本に目を落とす臨也さんを横目で眺めながらぼんやりとそこまで考え、我に返って無性に気恥ずかしくなった俺は、自然に血が昇った顔を誤魔化すように好み通りに入れられたコーヒーを一気に飲み干した。










身の程知らずの恋をした
(あれ?俺コーヒーの好みなんて話したっけ?)














「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -