※R15









「…ッ…う、…ひっ…く…」
まだ吸いかけの煙草を灰皿へと押し付け、極力気配を殺して浴室に近付いた静雄の耳に届いたのは痛々しく押し殺した泣き声。時折シャワーとは違う水音が響くのは残滓を掻き出しているからだろう。
静雄がゆっくりとその扉を開くと湯気を纏う白い肩がびくりと震える。

「な、に…っ?笑いにきたなら、今日…は、勘弁してよ」
普段からの気丈さは微塵も感じられない弱々しい声音で拒絶するように背を向けたまま言葉を漏らす臨也。
「…ッ…」
その姿に耐えらなかった静雄は、自身のシャツやズボンが濡れるのも厭わずに後ろから臨也を抱き締めた。

「!?シズ、ちゃ…っ何して、離せよ…、汚れる…!」
「誰も汚れやしねぇよ…汚れても、綺麗にしてやる。……辛いんだろ?」
何が、というのを示すように未だに白い欲望に濡れる秘部を指先で掠めれば震えは一層大きくなる。

「やめ…てよ…同情の、つもり?そんなの」
「同情じゃねぇ。俺が嫌だからやるだけだ」
抱き締める手に力を込めて秘部にゆっくりと指を埋めると、先程までの蹂躙に開いていたそこはすんなりと受け入れた。

「…ッう…あ…」
腰に力の入らない臨也を支えるようにしてもう片方の指を中で折り曲げると、スカイブルーのタイルに白く濁ったものが落ちる。

それは静雄の指を受け入れた途端重力を思い出したように臨也の中から零れ落ちて、次々と床や脚を汚した。

臨也の白い腿に点々と痕を残す他人の残滓に、静雄の中に抑えきれない衝動が生まれる。
急速に育ったそれに突き動かされるように静雄は指を引き抜くと臨也の身体を反転させ、壁に押し付ける形で唇を重ね合わせた。

「…ン…ッ?!う、…んん…」
不意に落とされた口付けに驚いた臨也が、淡々と水を流し続けるシャワーに濡れて張り付いた静雄のシャツを押し返す。
しかしその手は口付けが深まるにつれて緩やかに、縋るようにシャツを握るものに変わった。

「っは…臨、也…」
一瞬とも長くとも感じられる時間を経て唇を離せば、二人を繋ぎとめるように互いの唇から銀糸が伝う。
「…今、のは…?」
言外に同情かと問う臨也に静雄は否定するように再び荒々しい口付けを送った。逃げるような動きから次第におずおずと差し出された舌を絡め取り、舌の裏筋を辿っては歯列をなぞるように口内を蹂躙する。
手は自然と先程臨也の胸の飾りに伸びており、それは離れた静雄の唇が首筋に落ちても臨也を包み込むように優しく動いた。

「…っあ、…ン…っう…は…」
細いシャワーの音と共に落ちる嬌声は明らかに快楽を拾っていて、それを押し殺すように臨也が浅く息を吐く。その息は耳元で低く囁かれた自らの名を聞いて、飲まれた。
「何でかは、わかんねぇ。ただ…今無性にお前に触れたい。あの男が触ったとこ全部俺が塗り替えてやりてぇ。……嫌か?」
それは明らかに愛の告白めいた響きを帯びていたが、静雄自身は自らの気持ちにまだ気付いていない。
そして臨也は静雄を知りすぎているが故に、これは優しさからくる無意識下の同情だと結論付けで気付けなかった。



ひどく不器用な、恋のかたちに。










ようやくシズイザっぽいものになってきました。









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