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人物設定

【静雄】
淫魔(インキュバス)
本人はなんとなく自覚している程度、家族や親族は普通の人間。
セルティ曰く、厳密的に言えば自分と同じ類のものではないとのこと。複雑に進化を続けた彼だからこその突然変異のようなものではないか、とは新羅談。
インキュバスは男の淫魔。普通は女と性交を交わし、悪魔の子を産ませるというものだが、静雄は男と交わって相手の精を吸う。ゆえに本質的にはサキュバス(女の淫魔)に近い。
臨也とは恋人同士という間柄だが、身体を繋げることを拒み続けている。
一月に一度、性衝動が高まる期間だけ、臨也との連絡を絶ち適当な男で性欲を満たす。相手の精を吸い取りはするが、殺しはしない(相手はそれなりに弱る)
静雄にとってセックスの相手=欲を満たすための餌のようなもの。臨也を欲を満たすためだけの相手とすることを嫌い、彼を拒んでいるが、臨也がそれに傷ついていることには気づいていない。
【臨也】
学生時代から静雄のことが好き。
晴れて両想いの恋人同士という関係になるまでは己の気持ちを誤魔化してきたが、今は比較的ストレートに静雄への想いを態度や口に出す。
キス以上の関係に持ち込めないことに悩んでいるが、強く出られない。静雄の浮気(と臨也は思っている)に気づきつつ、本人に詰め寄ることもできず悶々とした日々を過ごすしている。


構成

●いつ?
二人が付き合い始めて半年ほど。表面上は比較的穏やかな付き合いを続けているが、身体の関係には発展していない。「しばらく会えない」というメールを最後に、静雄とは連絡が取れなくなってしまっていた。
それから三日。臨也は、とうとう堪えきれずに動き出すことを決めた。

●どのように始まる?
恋人の行動に疑いをもった臨也は静雄を尾行し、見知らぬ男とホテルに入るところを目撃する。
怒りと悲しみと憤りとをドロドロに煮詰めたような感情が、臨也の胸の中を焦がす。
時折静雄の身体から香る男物の香水の匂い、首筋に残されたかすかな情事の痕跡。そして、情報屋という生業上、嫌でも耳に入ってくる【平和島静雄】の噂。
彼が男と寝ているという事実は知っていた。知っていながら、知らないふりをしてきた。必死になって繋げた彼との絆を断ち切るような真似はできなかったし、何より心のどこかでは彼を信じている自分がいたからだ。

●何処で?
ラブホテルの一室。臨也は二人が入った部屋の前に立ち尽くし、岸谷家でのやりとりをぼんやりと思い起こしていた。
[回想]
静雄と付き合って間もない頃、臨也は【平和島静雄とヤった】とネットで吹聴していた男から話を聞いたことがある。男は静雄の身体や行為の内容をべらべらと喋った。
「ありゃあ人間じゃねえよ、化け物」
「化け物?」
「そー、化け物。マジ、良すぎて死ぬかと思った。何回イったか分かんねーし、それでもあいつ満足しねえんだよ。色情狂っつーの?いや、淫魔ってやつかね」
淫魔。
その単語は、悪魔の一種を指す。首なしライダーと恐れられる、彼女と同じ類のものだ。
新羅の元を訪れた際に、臨也は何気なくその話をこぼした。

●誰が?
男と静雄がベッドの上でキスを交わしているところに、臨也乱入。

●何故?
どうして他の男とセックスをしているのか。何故自分ではいけなかったのか。
そもそも、静雄は本当に自分のことが好きで恋人同士になったのか。それを問いただすため。
全てが信じられなくなった臨也は、長いこと胸に留め続けてきた想いを静雄にぶつける。

●何をする?
男を脅して退場させた臨也は、新羅やセルティから聞かされた情報と、自分なりの解釈を交えて静雄に詰め寄る。

●最終的にはどうなる?
淡々と静雄を責める臨也に対し、静雄は反論の一つも見せない。それが一層腹立たしい臨也は、静雄をベッドの上に押し倒し、「淫売」となじる。
その一言に、静雄がようやくまっすぐに臨也を睨み返した。その瞳には怒りでも悲しみでもなく、欲情の炎をちらつかせながら。
「黙って聞いてりゃあ、ごちゃごちゃと」
臨也の襟首を掴み、強引に引き寄せると、静雄はその唇を奪い取る。
それまで二人が交わしてきたような、触れるだけのそれとは違う、ひどく荒々しく深い口付け。舌を絡ませ、口腔内を犯され、臨也の身体からは力が抜けていく。
「どうして俺がてめぇと寝なかったのか、教えてやろうか」
形成逆転。いつの間にかベッドの上に転がされた臨也にゆっくりと圧し掛かりながら、静雄は一つ舌なめずりをした。
自分が人とは違うこと。精を吸い取る怪物であること。自分とセックスすればどうなるか知っていたからこそ、拒み続けてきたこと。
ゆっくりとそれらを語り継ぎながら、臨也への口付けを繰り返す。
「……は。なに?シズちゃんは俺のこと心配してくれてたってわけ?」
静雄の想いを知り、臨也はくつくつと笑った。
「なめるなよ、化け物」
言葉とは裏腹に、ひどく優しい声でそう呟いた臨也の言葉は、静雄の唇に飲み込まれて掻き消えた。



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