TF 100題 | ナノ





0009:わかったギブアップ(ビーププ)



邪な視線を感じる。
視線を感じる場所は何故か尻だった。なんと言うか舐め回すような、悪寒を感じる視線。

「…バンブルビー」
「んー?なにー?」
「気のせいかもしれないが、さっきから私の尻をじっと眺めてないか?」
「まさかー。気のせいだよ!」
「そ、そうか?」

笑いながら抱き付いて来るバンブルビーは、一見愛らしいミニボットにしか見えないのだが。
知っている者は知っている。彼のスパークは腹黒い邪念が渦巻いていることを。
ギュウギュウと甘えて来るバンブルビーに、オプティマスは苦笑しながら頭を撫でた。

「こら、これじゃ仕事にならないだろう?」
「でも、あと少しで仕事終わるじゃん?こんな猛暑じゃディセプティコンの連中も出て来ないって。…あ!そうだ!ねぇオプティマス、湖に行こうよ!」
「湖に?何をしに行くんだ?」
「暑いから皆で泳ぎに行こうよ!昨日サリと一緒に行こうって約束したんだ!せっかくだしオプティマスも一緒に行こうよ!」

ね、ね?と見上げて来るバンブルビー。誘いは嬉しいが、オプティマスはまだ仕事が残っているしなぁ…と悩む。
ふと、腰に巻き付く腕の力が少しずつ強くなっているのに気付いた。
見下ろすと、不満げな彼がさらに密着して来るのが見えた。しかも何やら腰から尻の上を不埒な動きで這い回る手の感触がする。
明らかに意図的な動きにオプティマスはギョッとした。

「ちょ、変な風に触るんじゃない!こら、尻を揉むな尻をー!」
「あ、意外と尻の触り心地気持ちいい」
「ば、バカッ…!」

怒鳴って引き剥がそうとするが、バンブルビーも必死らしくこれがなかなか引き剥がせない。
しばらく揉み合っていた二人だったが、頑として離さないバンブルビーの頑固さに最後はオプティマスの方が折れてしまった。
両手を上げて降参のポーズ。

「分かった分かった。私も仕事が片付いたら一緒に行くよ…」
「ホントに!?やったー!」

満面の笑顔を浮かべて喜ぶバンブルビー。
オプティマスは排気しつつも苦笑するしかない。
悪戯好きでお調子者。けれど彼の笑顔はあまりにも無邪気で眩しいから、結局オプティマスは彼に甘くなってしまうのだ。


(終)

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