TFA短編 | ナノ

ツイリクA紅玉さんへ 甘々なメガププ


ふにゃりと緩んだ表情。酒の臭いを漂わせながら、泥酔したオプティマスが猫のように擦り寄って来る。

「めがとろ〜ん…体が熱いよぉ……」
「止めるか?ならベッドまで運んでやるぞ」
「んん…らいじょうぶ、まだ飲むぅ…」

へらへら笑いながら胸元にじゃれ付くオプティマス。
酒のせいでロクに力が入らずずり落ちる機体がメガトロンの胡座の上に倒れた。
そのまま動かないオプティマスの頭を大きな手が撫でる。撫でられて気持ちいいのか、時折頭を擦り付けて来た。
ふっとメガトロンが苦笑する。

「まるで猫だな」
「猫じゃなーい…オプティマスら…」
「今のお前は猫にしか見えんぞ。ほれ、猫なら猫らしく鳴いてみろ」
「ん、んーー…………んにゃあ」

喉を擽ってやると、多少は嫌がりつつも猫の鳴き真似で返事をするオプティマス。思わず口の端がにやけてしまう
うむ、可愛い。酔っていなかったら絶対にこんな真似はしないだろう。
なんとなく、脇に手を伸ばして目の前に抱き上げた。じっと眺めて見る。ぼーっとしたままのオプティマスをそのまま左右に軽く振ってみるが、抵抗も無くただだらんと腕を垂らしたまま揺さぶれている。
今度は前に揺さぶってみた。
「うー……」などと呻き声は上げるが、やはり抵抗は無い。されるがままだ。

「……ぶっ!」

耐えきれずにメガトロンは吹き出した。
これでは本当に猫ではないか。

「めがとろぉん…」
「ん?何だ?」
「ぎゅっ〜として…?」
「お安い御用だ」

可愛いおねだりを快く承諾してやる。
大きな胸元にオプティマスを抱き寄せれば、嬉しそうに鳴きながら頬を擦り付けて甘えてくる。

「悔やまれるのは今ここに猫耳が無いことか…」

背中を撫でながらふと口にした。
すると、いきなり顔を上げたオプティマスが怒ったようにメガトロンを睨んで来た。しかも突然泣き出したではないか!

「ど、どうしたオプティマス!?何故急に泣く!?」
「う、ひぐっ、ううっ…!め、めがとろんのバカァ…この浮気者ぉっ…!」
「はぁ!?」

ギョッとするメガトロンに、オプティマスは嗚咽を堪えながらばか、浮気者をひたすら繰り返す。
急に何なのだ。まったく訳が分からないが、泣きじゃくるオプティマスを宥めつつとりあえず怒った理由を聞いてみる。

「オプティマス、我が浮気者とはどういう意味だ?我が愛しているのはお前だけだと常に言っているだろう…?」
「う、うっ…うそだ、だって、さっきからめがとろんは…猫耳があれば、とか、猫耳がほしいとかそんなんばっかり!」
「………は?」
「めがとろんは私よりも猫耳がいいんだー!」

猫耳?猫耳って、あんなものただのコスプレアイテムではないか。
そう思うが、酔っ払いにはそんな常識など通じないようだ。猫耳を人だと勘違いしてぽかぽかと頭を叩いて来る。
やはり力が入っていないから全然痛くない。そうか、これが猫パンチかとメガトロンは納得した。

「ばかばかばかっ、私はこんなにお前のこと好きなのに、大好きなのにー!猫耳がなんだー!私は猫耳より可愛いんだー!」
「わかった、わかったから少し落ち着け」
「ニャアーーー!」

宥めようとすればするほどオプティマスの何かに火を付けたようで止める様子が無い。
叩かれ続けるメガトロンは思わず排気する。

「お前は酔ったらタチが悪いな…」

痛くは無いが、しかしいつまでもぽかぽかされては気分が良くなるはずも無い。痺れを切らしたメガトロンはオプティマスの両手を握って止めさせる。
ビクッと少し怯えた表情を浮かべるオプティマスをそのまま抱き寄せて、煩い唇を強引に塞いで黙らせた。

「んっーーー」

苦しい呻き声を上げようとするオプティマス。頭を掴んで逃げられないように、更に深くなる口付け。舌を絡ませると少し酒の味がした。一体どれだけ飲んだのだ、こいつは。

「ふぁっ……」

強張っていた表情が次第に緩く溶け始める。
甘い口付けに酔ったらしく、今度はオプティマスの方から首に両腕を絡ませて応えて来た。

「んんっ…めがとろん……」
「安心しろ。我はお前だけを愛している」
「…猫耳よりも…?」
「もちろんだとも」
「よかったぁ」

やっと安心したのかオプティマスは嬉しそうに微笑んだ。
気が緩んだのか、そのままパタリとメガトロンの上に倒れてしまう。
慌てて顔を覗き込むが、どうやらスリープモードに入ってしまったようだ。呼び掛けても起きようとしない。
ベッドに寝かした方がいいだろう。メガトロンはオプティマスを横抱きにして立ち上がった。

「明日、素に戻ったこいつがどんな反応をするのか楽しみだ」

腕の中、幸せそうに眠るオプティマスを見下ろしながらメガトロンはベッドへと歩き出した。


(終)


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