TFA短編 | ナノ

2014.2.14リクCAさんへ チョコと愚か者と宣戦布告と(スタププ)

自身過剰もここまで来ればいっそ清々しいとさえ思う。

「よぉオプティマスプライム!今日はあれだ、バレンタインと言う恋人同士のラブラブなイベントらしいな?てな訳でこの宇宙一イケメンでクールな俺様が素晴らしい贈り物を用意してやったぜ!ありがたく受け取りやがれ!」
「…スタースクリーム…これは、この巨大な茶色の物体は一体何なんだ?」
「はぁ〜。目の前の素晴らしいこれが理解出来ねぇとは…これだからオートボットは。まぁ今回は特別に優しく教えてやる。今日はバレンタインだから、当然チョコに決まってんだろ!オプティックを洗浄してよぉーく眺めて見ろオプティマス!」
「いや、チョコなのは分かるが…形と大きさが…」

オプティマスは途中で言いかけて、スタースクリームが自信満々にプレゼントして来たチョコを見上げながら絶句している。
頭と腰に手を置いてふふんとモデルのような、セクシーポーズを決めている等身大のスタースクリーム全身チョコレート像を見上げるオプティマスは、あまりの非現実的な物体に硬直していた。
スタースクリームはこの恐ろしい物体をバレンタインのチョコだと宣言したのである。
ああ、恐ろしい。何だって敵であるはずのオートボットによりによってこんな物を。

(まさか、これには有毒物質かあるいは爆弾が仕掛けられているとか…?ああ、何でこんな時に限って皆外出中なんだ!私一人で切り抜ける自信がまるで無いっ)

どうしよう、これは今すぐ破壊するべきか?ウルトラハンマーをグッと握り締めながら葛藤していると、

「おい」
「へ?ーーーうわっ」
「…変な声出してんじゃねーよ!せっかくこのイケメンが恋人に構ってやってんのに!」
「嬉しいわけないだろう…さっきから誰と誰が恋人だって?」
「俺とお前に決まってんだろ?」
「っ…誰がお前なんかと」

腰に手を回してあっという間にオプティマスを引き寄せたスタースクリームは、長い指で顎を掴み強引に上向かせる。
普段の残忍なディセプティコンらしくない仕草で優しく指先で頬を撫でられ、これは罠なのかそれとも純粋な好意なのか…オプティマスは分らなくなってしまった。
間近で見上げるスタースクリームの顔は、なるほど本人が自慢する通り端正な顔をしている。
この整った容姿を利用して、今度は自分を陥落しようと企んでいるのだろうか?
そのためにこんな無駄にしか思えない奇妙な贈り物をわざわざ贈るだろうか。

「離せっスタースクリーム」
「ヤダね。俺様はオールスパークとアンタも手に入れてみせる。今日はまあ、その宣戦布告ってやつだ」
「オールスパークは分かるが、何故私を…私はオートボットだ!お前の物になんてなるわけがないだろう!」
「はぁー本っ当に可愛げのない奴ー。…今に見てろよ。俺様はやると言ったら必ずやる男だ!今日はこの辺で引き上げてやるが、次はいい返事を聞かせろよオプティマスプライム!?」

ニヤリと笑ってフレンチキスをするスタースクリーム。
オプティマスが我に返った時には既に機体が離れていた。

「ま、待てスタースクリーム…!」
「俺様を味わって食えよー!!」

とんでもない事を言いながらトランスフォームしたスタースクリームは、あっという間に上空へ舞い上がり飛び去って行った。
残されたオプティマスは茫然と見えなくなるまで見上げていた。

「…何なんだ一体…」

嵐のように来て嵐のように去って行ったスタースクリームの考えている事がまるで理解出来ない。
俺様な性格は、少しセンチネルに似ているとどうでもいい事を考えながらスタースクリームの等身大チョコ像へと振り返る。

「…とりあえず細かく砕くか」

絶対にこのまま食べたくはない。チョコなら溶かしてまた固めればいいだろうと、疲れたように排気しながらウルトラハンマーを高く掲げた。

(終)


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