TFAお題小説3 | ナノ





02.手繋いで帰ろう(ジャズとセンとププ)



「なぁセンチネル、噂に聞いたんだが君は最近可愛らしい奥さんと同居しているそうじゃないか?」
「ブフゥーーー!?」

のほほんと、悪気無く言ったジャズのとんでもない内容にセンチネルは飲んでいた酒を噴き出した。

「おいおい汚いぞー!」
「ぶはっ、ゲホゴホ…!お、お前が急に変な事言うからだろーがぁ!?誰が奥さんだ誰が!?誰から聞いたそんな噂!」
「あれ?皆そう噂話していたけど違うのかい?」
「ただのルームメイトだルームメイト!奥さんなんかじゃねぇ!!」
「え、メイド…!?」
「違あぁーう!!」
「お客さま、申し訳ありませんが他のお客さまのご迷惑になりますので…もう少しお静かにお願いします」
「うっ…オプティマス」

見当違いなジャズに喚き散らすセンチネルの顔面にいきなりボトルとグラスが突き付けられる。
センチネルが顔を上げるとそこにはバーテンダースタッフであるオプティマスが爽やかな営業スマイルで立っていた。
しかしその笑顔には明らかに『うるせぇ静かにしやがれ』という苛立ちが含まれていて、騒いでいたセンチネルは周囲の冷たい視線を浴びながら静々と押し黙った。

「やあオプティマス!今日も忙しそうだね」
「こんにちはジャズ。でも今日はお客さんが少ない方なんだ。この分じゃあ店終いも早くなりそうだってマスターがボヤいていてね」

苦笑しながら話すオプティマスに、ジャズはふうん?と嬉しそうに笑う。

「え、そうなのかい?じゃあ…店が終わったら一緒に遊びに行かないか?いい店を知ってるんだ♪」
「それは嬉しいけど…」

チラリとオプティマスはセンチネルを横目で見た。
この自分を除け者にして親しげに話す二機が気に入らないセンチネルは、ブスくれた表情でぐびぐびとオイルを飲み続けていた。
案外寂しがりやな彼を良く知っているオプティマスはやんわりと自棄酒を止めようと肩に手を置いた。
が、すぐに手を弾かれる。

「な…おいセンチネル!お前少し飲み過ぎだぞ?もう辞めておけ」
「うるせぇほっとけよ!俺がどれだけ飲もうとお前に関係ないだろーが!」
「またそんな事…同じ部屋に住んでるんだから無関係な訳ないだろう?君を心配しているんだから…な?」
「………っ」

柔らかい笑みを浮かべて寄り添うオプティマス。
センチネルはそれ以上悪態をつけず、のろのろと顔を上げて素直に頷いた。
それを見たジャズはえっと驚く。

「一緒に家に帰ろうか?その様子じゃ立てないだろうし…もう少しで店終いだから待っててくれ」
「ジャ、ジャズと飲みに行かねーのかよ…俺に構わずに行ってくりゃいいだろっ」
「はぁ〜」

ふいっとソッポを向くセンチネルの頬は若干赤かった気がする。
やれやれと肩を竦めて、オプティマスはすまなそうにジャズへ振り返った。

「すまないジャズ…この埋め合わせはまた今度に」
「いや構わないよ。それにしても今のセンチネルは妙に素直だねぇ。あ、でもさっきちょっとツンデレ入った?可愛いなーもう。そんな仲良しならいっそ手ぇ繋いで帰ったらどうだい?」
「…うるっせぇ!」

ニヤニヤしながら茶化すジャズにほんの少し殺意が湧いた。

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