TFAお題小説2 | ナノ





世紀末に始まってからずっと(メガププ)



静かな夜だった。
故郷の星とは似ても似つかない、豊かな自然を育む地球の夜は静かでとても落ち着く。
涼しげな風が頬を擽って、こそばゆさを感じながらもオプティマスは夜空を見上げていた。漆黒の闇を埋め尽くす満天の星空はとても美しい。
素直にそう思っていると、ふと膝の上をもぞりと動く気配を感じた。
オプティマスは視線を下げて淡く微笑む。

「あの星の中に私達の星があるのかな?」
「…我らが故郷は隣の銀河の中にある。ここから見えるはずなかろう」
「それはそうだが…お前はもっとこう、ロマンとか無いのか?」
「無いな。今は貴様と寝る事しか考えられん…」
「…あのなぁ…」

顔も上げず気怠げに呟くメガトロンにオプティマスは苦笑した。相当眠いのか、その後は何も喋らずスリープモードに入ったようだった。
やれやれとオプティマスはメガトロンの頭を撫でてやる。一瞬だけ身じろぎしたかと思うとまた動かなくなった。
こんな風に情事を終えてからずっと膝枕にされているのだ。
自分より大型な機体がこうして幼子のように甘えて来るなんて少し前まで考えられなかったのに。慣れとは恐ろしい。
普段は冷酷無比なディセプティコンのリーダーである彼は恐ろしく強い。
加えて周囲を畏怖させる程の圧倒的な存在感とカリスマ性はまさにリーダーと呼ばれるにふさわしい。
…だけど、オプティマスには時々その大きな背中がなんだかとても寂しそうに見えて。
彼がなんだか深い孤独感に苛まれているように思えてならないのだ。

「よく考えたら、私は思っている以上にメガトロンの事を知らないんだな…」

眠るメガトロンを見下ろしながらポツリと呟く。
メガトロンは多くを語らない。
オプティマスが知っている事と言えば、彼がディセプティコンのリーダーであり破壊大帝。これぐらいのものだ。他は知らない。何も分からない。
もちろん調べようと思えばいくらでも調べられるだろう。けれどオートボット側から調べても、所詮その知識は彼の全てでは無いからオプティマスにとってあまり意味は無い。
あくまでも彼から聞きたいのだ。
それでもメガトロンはオプティマスに秘密を語りたがらない。
その理由をオプティマスは知っている。

「…過去を聞いたからって、私がお前を嫌いになるなんて有り得ないよ」

(私の秘密は何もかも調べた癖に)

滑稽だ。あの破壊大帝が唯一恐れるものが自分に嫌われる事だなんて笑えて来る。
だけどスパークも機体も何もかも暴いた癖に自分だけは何も語らないなんてずるいじゃないか。
オプティマスはギュッと頭を抱き締めて額にキスをする。

「今よりもっと強くなるから…だからいつかは教えてくれ」

愛している。
苦しみも痛みも受け入れたいと願っているからいつかは全てを曝け出して欲しいと願った。

(終)

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