手を伸ばして、黒揚羽のように艶やかな黒髪に触れてみる。絹のようなそれはさらりと指の間をすり抜けて、けれどこれだって今は己のものであるのだと自覚して、信じ難い位のその事実に狂喜し、声を立てて笑う。
そうだ、俺は彼女の全てを手に入れたのだ。雪のように白い肌も、今にも折れそうな程細い四肢も、清らかな光を湛える瞳も。この手で全て絡め上げて、磔にしてしまった。何処にも逃げないように、誰にも触れられないように。

「ヒナタ」

虚構と妄執で塗り固めた永遠の中で、貪るように愛してやる。


▽暗いのは時々無性に書きたくなる


×

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -