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▼ 折原臨也と朝チュン

小鳥のさえずりが聞こえる。カーテンの隙間から指す光に刺激され、体に朝だ起きろと指令を出した。そして、あたしは気付いてしまった。
隣には、寝ている青年。あたしは、衣類を身につけていない。しばらく唖然として、頭を抱えてしまった。―――所謂、朝チュンというやつだった。



仕事の飲み会で見事に出来上がったあたしは、帰り道の記憶が一切ない。まぁ今のこの状況を考えればそれとなく想像はできる。
ボーと視線を彷徨わせながら、広い部屋だとどうでもいいことを感じながら、無造作に投げられた自らの下着やらを見つけてしまい、すごく居たたまれなくなってしまった。流石に、20も半ばにこんな浅ましい失態をしたことを突き付けられると堪えるものがある。
隣の彼には悪いが、起きない内に退散してしまおう。そして昨夜のことはなかったことにしよう。
浅ましいのは昨夜の自分か、今の自分か。取り敢えず服は必須だと体に絡み付いたシーツから抜け出そうと足を動かした。
すると、

「……やだなぁ、あんなことシちゃった仲なのに、すぐに出てっちゃうなんて冷たくない?」

寝起きらしい、男の色気を含んだ声色を耳に注ぎ混まれる。言葉で反応するより先に体がその魅力に反応してしまい、思わず全身を震わせてしまう。流石にこの距離だと誤魔化すことなんて不可能で、彼はクツクツと喉で笑った。……笑いながら足を絡めてくるのは、何で?

「あたし、もう失礼します」

意を決した言葉をいい放せば彼の笑いは一旦止んだ後、うなじ部分に指を滑らされる。再び体が震えると同時に、記憶にはない昨夜の出来事を肌で感じた。ああ、確かにあたしは彼に抱かれたのだ。肌が、彼の愛撫を覚えていた。
そしてその指はうなじを下降し、背中へ。

「君から誘ったんだよ。覚えてる?」
「、っ……お、ぼえてません」
「………昨日の名残かな、敏感だ、」

耳を唇で挟まれる。
直後に囁かれた言葉に、私は彼に落ちてしまったのだ。









なにこれ  110321



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