Memo | ナノ


「・・・・・・」
「・・・・・・」

空気が冷たい。
感覚的に、っていうか、精神的に。
「一応聞いておきますが」
イライラしたようなシドニーの冷たい目線。
空気が冷たい理由はコレだ。
さすが仕事の出来る宰相さん、なんていうと本気で撃たれるからお口にチャックしようか。

「なぁに?」

すっとぼけて私は尋ね返す。
きっと、っていうか確実に、この前のクリスタの事。
ああもう。私関係ないのに。

「貴女が来ると陛下が逃げ出すんです。来ないでください」
「残念だけど私に仕事の依頼をしてるのは貴方の上司なんだよ」

彼女の気に召さなかった物、凍らして砕く価値すらない物。
【ダイヤの女王】の為にそれらを消すのは私の役目。
それが、クリスタから私に対する依頼の内容。

「・・・・・・」

イラッとしたのか、シドニーがモノクルを上げる。
それに、彼女は黒ウサギが大好きだもの。
仕方ない事なんだよ。
言っても分かってもらえないような気がするから言わない。

「でしたら、」
「ん?」

そんなにイライラしてたら白髪が増えるよ。
ただでさえ貴方はアリスにもイライラしてるんだから。

「出来る限り陛下の前に姿を現さないでください」
「・・・出来ればね」

それは私に死ねって言ってるのかな。
流石に氷漬けで死ぬのは嫌だな。・・・もう何度も死んでるけどさ。
・・・いや、いっそ新しい死に方の開拓でもしてみようか。
もしかしたら割とすっきりするかもしれない。
この世界なら普段出来ないような死に方が出来そうだ。
銃殺もそうだし絞殺とか。
双子相手ならバラバラ死体にされそう。

・・・不吉だなぁ。

「それとも今ここで殺して差し上げましょうか?」
出来ない癖に、シドニーは言う。
何故ならクリスタが私に興味を持っているから。
「そうね、それも良いかもしれない
」にっこりと笑って言うと、シドニーがため息を吐く。
「もう結構です。陛下からの依頼は終わったんでしょう?とっとと帰って下さい」
歓迎されてないなぁ、苦笑する。
「分かった分かった。もう行くよ」

本当に、ダイヤの城はちぐはぐだ。



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