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「うわ」
帽子屋領土へ歩いて行く道。
見知った赤と青。
「あ、何だアンタか」
「こんな所で何してるの。暇人さん」
私より大人の姿をした、中身は子供。私とは反対。
「また貴方たちのボスに呼び出しを喰らったから行くところ」
また仕事か、と気が滅入るがグリーフシードを効率よく手に入れるには仕方ない。
これも生きて行く為の処世術。
黒い。真っ黒だ。
白銀色をしたグリーフシードは、私には似合わないな。
「ふぅん。そう言えばボスからいくらもらってるの?結構貰ってるんじゃないの?」
「たまにしか仕事しない癖にずるいよねえ」
この双子の好きなものは「休暇」と「お金」。
だったら働きなさいよ。
そう言うと双子が冗談じゃないと言い始める。
その発言が冗談じゃない、だよ。
どうしろって言うのよ。
「ちゃんと契約していつも働いてるよ。私は貴方たちと違って真面目な子供なの」
不真面目な大人と一緒にしないでほしい。
私の契約対象は帽子屋だけじゃない、ダイヤの城も墓守も入っている。
私は特定の領土だけの味方はしない、その代わり特定の領土の敵になる事もない。
余所者ではないけれど、ダイヤの国の住人でもない。
中途半端な存在。
「・・・ご飯、おごろうか?」
子供に奢られるなんてダメな大人だと思うけどね、と付け足して。
「子供?墓守の子供ぐらい胡散臭いよ」
それは酷くない?
「そうそう。アンタが子供っていうと何か胡散臭い」
ディーもダムも普通に酷い。
まあ、本当の事なんだろうけど。
「あっそ。それじゃ私はもう行くから。貴方たちもちゃんと仕事しなよ」
大きなお世話だよ、なんて双子が口を揃えた。