Memo | ナノ


乾いた銃声がして腕に穴が開いた。
その衝撃に息が詰まって、その一瞬が仇になったらしい。
体が吹っ飛ぶ。
それでも私は冷静だ。
面倒くさい事になる前に受け身を取ってロスタイムを短くして立ち上がる。

(腕に2発、足に受けた1発はかすっただけ)

冷静に怪我を分析する。
このくらいなら直ぐ治せる。
私の最初の願いなんてもうとっくに忘れてしまった。
でも私は、いつでも誰かを模している。
この能力もかつての友人が持っていたものだ。
私はそれを模している。
痛覚を遮断し、血を止めるだけの応急処置を施し、魔力を使って機関銃を召喚する。

「さて、お掃除の時間かな?」

敵を見据えて私は嗤う。
ガガガガガガガ。
連射の音。
本来なら体に来るであろう衝撃も、全て吸収できる。
何処までも私は化け物に成りはてたらしい。

「相変わらずお嬢さんは過激だね」
「帽子屋か」

もう敵は全て掃射した。
本来なら拘束の為に使うリボンをひゅっと振るい落ちたグリーフシードを回収する。
壊れてない。よかった。
とんとん。
爪先を叩いて戦闘服を解除する。
今は彼らと契約を交わしているけれど・・・正直帽子屋屋敷の人は苦手だ。
それならまだ墓守の方がマシだ。人語が通じる。

「彼らはブラッドたちの敵だからね。これで契約完了だよ」

にこりと、年相応に見えるように笑おうと努力する。無駄に終わったみたいだが。

「君は本当に気持ち悪い子供だな」
「そう?貴方に言われたくないんだけどな?」

子供らしく首を傾げてみる。
子供らしいってなんだっけ?
もう長い事生きているから子供らしさなんて忘れてしまった。
私はもう子供じゃない、でも大人になんて一生なれない。
それだったら魔女になって死なないと。

「まぁ、気持ち悪いのは本当の事だから受け取っておくよ」

それじゃあこれで契約終了だ。
ようやく居心地の悪さも解消されるだろう。

「じゃあね、また機会があれば契約してよ」
「ああ、もちろんだとも。君と組むと掃除が直ぐに済むからね」

胡散臭い笑顔を浮かべてブラッドが言う。やっぱり苦手だ。



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