「助けてください!!」

教室の中心で助けを叫ばれたのはつい五分前のことでした。

「てんめふざけんなマジ殺す死ね」
「やだなーシズちゃん俺としてはまだちょーっと死にたくないんだけ、どっ」
「……………」

廊下を飛び交う机やら教室のドアやらナイフやらに、大きく溜息。クラスメートどころか他の学年の生徒や教師まで遠巻きにして嵐の中心にいる青年二人を見ていた。

「ちょっとーすいませーん折原くーん平和島くーん?」

試しに呼び掛けてみるが応答なし。それどころか嵐はどんどん大きくなるばかりで、…椅子が飛んできやがったコノヤロー。

「イザイザにシズちゃーんマジでざっけんじゃねーよ女に物投げるたあ良い度胸じゃなーい?」
「んぁ、name?げっ…」
「…キレてる?」
「そりゃあね、避けたから良いけどね、女に手ぇ上げるって事は女を殺せるって事なんだよ。そして女を殺す男はマジで最低。てめえそれわかってあたしに椅子投げたよね?あ、シズちゃん?」
「…あー、ストップストップビークールプリーズ。俺ぁ臨也に向けて投げたんだけどよォ、臨也が避けたからそっちにいったっつーか、俺の所為じゃねえよー」
「やだなあ俺は自己防衛をしただけでなにも悪くないと思うよ。ほら、大体シズちゃんが椅子投げたら俺は避けるでしょ、そしたら後ろにいるnameに当たるじゃん。それを考えないで投げたシズちゃんが悪いよね?」

二人の言い分を聞いている内に頭が冷める。そうだよーあたしったらこんな性格じゃないじゃーん。
でも、そのまままた二人が喧嘩を再開しそうな雰囲気だったので、しょうがないからあたしは後ろの壁にめり込んだ椅子をひっこぬいた。そしてそれを二人の間に振りおろす。

「「…………………」」
「ほら、あたし非力だから。もう喧嘩やめよ?」

今度は廊下にめり込んだ椅子から手を離して二人に笑いかけると、二人は椅子を避けた時の体勢で頷いた。


教えてくれ、
お前のどこが非力なんだ



(08.4.12/11.12.24)

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