「イザーク、いい匂いがする」
隣にいる彼に何となく言ってみたら、一瞬アイスブルーが見開かれた。
目が点、みたいな感じだ。イザークくらいキレイな人がやればそれすら様になるけれど。
「…いつもどおりだが」
なんで今日に限ってそんなことを、と言いたいのだろう。
たしかに彼の香水の程良い香りはいつもどおり。
安心する。
私の記憶に強く残るそれ。街中でうっかり似た香りを感じて振り返ってしまうくらい。
「…なんでかな…なんでかしらね。でも好きなの」
「この香りがか?」
「ううん」
否定に、怪訝な顔。あ、眉間にしわが。でもそういう顔も嫌いじゃない。
イザークの肩に頭を乗せて、目を閉じる。特に嫌がりもせず、むしろ腕を絡めて抱き寄せてくれるから、余計甘えたくなる。
「これつけてるイザークの匂いが好き」
「…そうか?」
「うん。大好き」
抱き寄せる力が少し強くなって、イザークが私のおでこに唇を寄せた。
「…いい匂いがするな」
「…そう?」
「ああ。好きだ」
イザークの匂いと体温に包まれる。いつもどおりのそれふたつといつもどおりのふたり。
私の中の最上級の幸福。
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