そういうことは早く言えよ!
「栗宮は手際が良いよな」
班ごとに夕食のカレー作りを行っていた。
『ありがと。…痛っ』
栗宮の手元を見ると怪我をしていた。
「大丈夫か?」
『さっき切っちゃってたみたいで…』
大丈夫だから、気にしないで。と笑顔で言ってきたので
「そういうことは早く言えよ!」
気を付けながら手を引いて引率の養護教諭の元へ向かう。
『ご、ごめんね』
栗宮がシュンとしたのが分かって
足を止める。
「言い方キツかったよな。綺麗な手だから…大事にしろよ」
栗宮の頬が紅く染まった。
こんなにも小さな手だったのか、と思いながら再び歩き始めた。
end