日向順平
「いらっしゃいませ。今日はどうされますか?」
『カ、カットで…お願いします』
幸いお客さんは私一人。
この美容室の近くに引っ越してきて半年…。
流し台に案内され
彼の手が髪に触れる。
いつも気持ち良くて
うとうとしてしまう。
「遥さん…?」
ふ、と
頬に柔らかい感触がして
目覚める。
『ご、ごめんなさい。
いつの間にか寝ちゃってた…みたいですね』
日向さんの顔が少し紅いような気がしたけれど
恥ずかしくて自分のことで精一杯だった。
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