君を待つ雨の午後
今日は彼女、遥を待つ側。
こんな日は初めてで 不思議な気分だ。
と、静かに雨が降り始めた。
遥と出会ったのも雨の日ー。
『幸男くん、お待たせ』
いつの間にか遥が教室に入ってきて
顔を覗かれる。
「っ…お疲れ。帰るぞ」
頷く遥の手を引いて歩き出す。
付き合って1年になる。
もう恥ずかしさは抜けて
手を引くのも徐々に慣れてきた。
「遥を待ってる間、初めて会った時のことを思い出してた。
こういう雨の日だったな、って」
『私は…雨が降る度に思い出すよ』
と、優しく笑顔を向けながら言ってきた。
ー君を待つ雨の午後ー
どうしたって、君には敵わない。
ずっと側にいさせてくれ。
end