この恋、きみ色






「待たせてわりぃ」



教室で読書をしていたであろう彼女に声をかけるが返事がない。






夕陽が沈みかけ
教室が赤っぽく染まっている。







傍まで行くと微かに
規則的な寝息が聞こえてきた。







「遥」







そっと髪を撫でてやり、暫く穏やかな寝顔を見ていた。








『…ん』





目を擦りながら遥が起きた。






『た、大我くん!?私、寝ちゃってて…ごめんね』





しゅんとした遥が可愛くて
頭を撫でてやる。






「いいんだよ。いっつも待たせてんの俺だろ」





『ありがと//今日もお疲れ様です』



と、ふいに柔らかいものが頬を掠めた。







「…っ、今」





思わず頬に手を当てる。






『大我くん、顔真っ赤』






帰ろう、と手を差し伸べてきた
遥の手首を掴み唇を重ねた。





いつだって
この恋はきみ色に染まる。








end






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