…冗談だよ
『大我〜?今日はご機嫌ななめだね』
心配する彼女、遥にそっぽを向ける。
まぁ、原因はガキみてぇな理由で
自分にも腹が立ってくる。
『そういえばさ、昨日の氷室先輩…』
また、タツヤの話か…と更に機嫌が悪くなる。
少し意地悪してみたくなった。
「なぁ…そんなにタツヤが良いなら、タツヤと付き合えよ」
『……え?』
突然の言葉に遥は唖然とする。
と、見る間に涙目になっていく。
『大我っ…人の話ちゃんと聞いてから…言ってよ。バカ、大我なんて…大我なんて大嫌い!』
パチンっと平手打ちされ
部屋を出て行こうとした遥の腕を
無理やり掴んだ。
「わ、わりぃ…冗談だよ。ちょっと妬いたっつーか、タツヤの話ばっかりだから」
ぎゅーと抱き寄せると大人しくなった。
『わ…別れなくて良いの?』
「俺のこと、好きだろ?」
遥の涙を拭ってやる。
『…うん』
「冗談でも言っちゃいけないよな。本当にごめんな」
しばらくはコクコク頷き
少し落ち着いてから、もう一度話を聞くことにした。
『氷室先輩がね…タイガは私のこと、嬉しそうに話すって教えてくれて…大我がアメリカにいた時の話とかもしてくれたよ』
「っ…そういうことかよ!」
『もう二度と…哀しいこと言わないでね』
「お、おぅ!遥が泣くの見るの一番辛いって…分かった」
end