安心してください、邪魔者は消しましたから
『あれ、皆帰っちゃった?』
いつもなら
着替えやら何やらでぐたぐたしているのに
今日は帰るのが早かったみたいだ。
私も急がなきゃ、と部室に入ると
後ろから抱き締められた。
白くて皆よりは細いけれど日に日に逞しくなる腕、これは彼の腕だ−。
『えーっと…黒子くん?どうしたの?』
表情が見えず固まっていると
くすりと笑い、耳元でこう呟いた。
「遥先輩 安心してください、邪魔者は消しましたから」
と。
『っ…』
しばらくこの状態が続き
「何やってんだ、ダァホ!!」
と、日向をはじめ
昇降口で待っていたであろう部員の皆がやってきた。
「先輩に手ぇ出すなんざ、いい度胸だな」
と、首をポキポキ鳴らす日向に
軽くため息をつき
「仕方ありません」
っと一瞬で遥を抱えて
体育館を出た。
「こんな状況で言うのもアレですが、遥先輩が好きです」
と、彼はいたずらっぽく笑った。
end