もう誰にも触れさせないよ




「遥ちゃん、敦を待ってるのかい?」




『氷室先輩、お疲れ様です』






遥の傍まで行き
頭を撫でてやる。





くすぐったそうにしながら
兄にされるように喜んでいた。






と、大きな影が重なった。







「室ちん何やってんの〜?」






『あっくん、お疲れ』




ひょいっと遥が顔を出すと
笑顔になった。






「ごめん、ごめん。遥ちゃんが可愛くてね。つい」





パッと遥の頭から手を離し
また明日。とその場を離れた。




『あっくん、帰ろう?』





いつもの様に遥が手を差し出す。







力任せに引っ張り
自分の腕の中におさめる。







「…もう誰にも触れさせないよ」






っとくしゃくしゃ頭を撫でた。








『あっくん』




屈んで屈んで、とせがまれ
腰を落とす。






ぎゅっとお返しに
遥が抱き締めてくれた。






『大好き』





とキスを頬に落として
二人分の鞄を持って歩き出した。






今日も彼女は可愛い。


触れていいのは自分だけ。









end






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -