好きな彼女は薔薇に夢中
「実は僕…葬儀社に入ったんだ」
最近何か隠してるでしょ!と詰め寄ってきた幼なじみ、兼僕の片想いの相手である名前にそう告げると彼女はポカンとこちらを見つめた。
「僕みたいな奴がって…思うよね、信じられないよね…でも、本当なんだ。あの…なんか色々巻き込まれて、王の力ってやつを手にしちゃって…ひ、秘密にするつもりはなかったしいつか話そうとは思っていたんだけど……それで、その…」
「………」
必死に弁明してみるが、名前は何か考え込むように黙りこくっている。
名前に限ってはないかもしれないけど…もしかして通報しようとか、考えてる?一般人ならそれは常識的な考えだ。
でも、そうしたら涯達が名前を消そうとするだろう。それだけは避けたい。何としても………!
「名前、ごめん、今の―――――」
「王の力…!素晴らしいねっそれ!!」
「へ?」
今のやっぱ無し、と続けようとした僕の言葉は名前の感嘆によって掻き消された。
心なしか名前の瞳はキラキラと輝いている。
「じゃあじゃあ!葬儀社のリーダーっていう恙神涯とはただならぬ関係な訳だ!?」
「えっと…うん、まぁ…」
「じゃあ恙神涯とはその王の力を使ってあんなことやこんなこともしてる訳だ!?」
「ま、まぁ…?」
あれ、今の回答で良かったのかな。何か名前の瞳の輝きが増した気がするんだけど。
「ら……」
「ら?」
「ラブだね!」
「どうしてそうなった!?」
万歳!と言いながらウキウキとする名前は絶対に僕の思っていた事を理解していない。っていうか勘違いしてる、絶対。
「集の手に入れた王の力で恙神涯をあんなことやこんなこと………」
「!?違う!それ違う!!」
「主従ものをリアルで見れるなんて…!私はいい幼なじみを持ったわ!!」
「名前聞いてる!?」
あんなことやこんなことってそっちの意味か!僕はテロ活動的な意味かと思ってたよ!
それとただならぬ関係っていうのはそういう恋人的関係じゃなくてもっとこう…複雑な…!
「愛人関係?」
「もうそっち方面から離れない!?」
結局、僕の努力虚しく名前の誤解が晴れることはなかった。
(恙神涯にはご挨拶に行かなきゃね!)
(一応聞くけど、なんで?)
(集の愛人にふさわしいか幼なじみの私が見定めるわ!)
title by だいすき。
◎なんか色々ごめんなさい。