連れてきた想い





※長編「クレヨンの花束」→三万打企画「一輪のビーズ」を読んでから読むことをお勧めします。




GHQの統治から日本の開放を目指す、ほとんどが若者で構成されたレジスタンス組織、葬儀社。
アンチボディズというGHQに所属する正式名称は特殊ウィルス災害対策局に対抗するための装備と組織力を持つなかなかに大きなレジスタンス組織である。因みに組織名の由来は「自分達は常に淘汰される弱者を〈送る〉側である」ことから。


という組織に私は現在、身を置いている事を涯くんに説明された。

「えっと…、」
「すまない、説明が分かりにくかったか?」
「いや、全然…むしろ分かりすぎて戸惑うっていうか…」

あはは、と苦笑する私に確かに、いきなりここはレジスタンス組織だと言われても困るよな…と言いながら目を伏せた涯くん。
こうして向かい合ってみると、本当に成長したと思う。いや、涯くんにとってはもう10年たっているのだから成長して当然なのだろうが。

「…そんなに見つめられると、照れるんだがな」
「っ!?ちが…ご、ごめん、なさいでした…!」

器用にぱちりと片目だけ開いた涯くんが妖艶に微笑んで言った言葉に私の顔がボッと赤く染まった。
うわぁ、ほんとに…ほんとに成長したよ!色んな意味で…!!
くつくつと笑い続ける涯くんは、昔の小さな涯くんと違って余裕そうだ。…同い年なはずなのに…。

「とりあえず、レジスタンス組織だからといって敬遠しないでもらいたい。実際の姿は名前がしばらくここで過ごして感じた方がいい」
「あ…うん、えっと…ありがとね。その…何から何まで…」
「気にするな。それに、俺も名前“お姉さん”に同じ扱いを受けたしな」

そう言って涯くんはくしゃりと私の頭を撫でた。私が小さい涯くんを撫でていた時のように。
座っている私は立っている涯くんを見上げて、ぽつりと呟いた。

「大きく…なったなぁ」
「そりゃあ……10余年はたったしな。むしろ俺には名前が縮んだように見える」
「ちぢ…!?失礼な…!昔の涯くんなんか私が抱き締められるくらい小さかったんだからね!?」
「今は逆だがな」
「っ!?」

涯くんが急に私の腕を引いたかと思えば、私は一瞬にして涯くんの腕の中にいた。
背中に涯くんの大きな手が回され、肩に顔を埋められる。

「っが…涯くん…!」
「……ずっとこうしたかったんだ。少しくらい、いいだろ」
「っ……」

心なしか腕の力が強まったのを背中で感じながら、ほんとに…大きくなったなぁなんて考えながら涯くんの背中に手を回した。



title by Harmonia

◎クレヨン→ビーズの続きを、との声が多かったので試しに続きを短編で書いてみました。
結論を言うならやっぱり甘いの苦手だ、書けない←



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