トーマス10
「兄さんは、凌牙は、璃緒しか見ていないんだわ。私だって家族なのに、兄妹なのに、凌牙はいつだって璃緒のことばかり。私の事なんて、視界にすら映してくれていないのよ。なんて酷い兄なのかしら。私達、三人で家族なのに、まるで私なんて、いらないみたい。凌牙と璃緒は、両手をお互いでつないで、私をその中に入れてくれないのよ。いいわ、それならそれでいい。私も、その手の中へ入ろうだなんて、もう思わないから。だって私には貴方がいるもの、ねえ」

「そうだな、お前にはオレがいる。凌牙もその妹も、お前にとってはもうただの赤の他人でいいじゃねぇか。もしかしたら、あいつらはもうとっくにそう思っているかもしれないな。だが、オレにはどっちだっていい。だってお前は将来オレの嫁になるんだから、そうしたらお前の家族はオレだ。オレだけだ。そうだな、2人で遠い場所で暮らそう。静かに、平穏に、家族だけで。しばらくしたら子供も入れて3人の家になるな。でも子供だけに構うなよ、オレだって寂しい」

「もちろんよ、ええ、家族を放っておくものですか。最愛の人と、子供と、家族だけの家。素敵ね、凌牙も璃緒もいない、他のうるさい奴らもいない、なんて素敵なのかしら。ああ…こうやって貴方との未来を描くのが、とっても楽しくて、楽しみなの」
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