ベクター06
「おーい真月ー!」


ほぉら、また遊馬が俺を呼んでいる。正確には俺じゃなくて、「真月零」だけどな。
すぐに行きますー!と、真月の笑顔を浮かべて遊馬に叫んだ俺は先程まで視線を向けていたグラウンドにある大木の下に目をやった。
ちょうどいい影ができているそこは、物静かな場所で人が通ることもない。一人の時間を過ごすのにはうってつけの場所ってことだ。だが、俺が気にしているのはその「場所」じゃなく、そこにいる「人間」だった。


「………あ」


はた、とそいつと目が合う。突然のことに、俺はサッと目をそらした。気づかれた……!目があってしまった、お互いの存在を認識した。そう考えた瞬間、頬がカァっと熱くなる。意味わかんねぇ!…そーっと、もう一度そいつに目を向ける。


「……いない」


今の隙に、どこかへ行ってしまったようだ。ホッとしたような、残念なような。


「おい真月ー!早くしろよー!鉄男たちとのデュエルに間に合わねぇって!」
「ごめんなさい!今行きます!」
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -