真月警部03
なんで目の前真っ暗なの?なんで手も足も動かないの?声を出そうにももごもごと口が動くだけで何も言えない聞こえない。なんだか身体も冷たいし、怖い。スカートだから、脚がスースーして、やだ。ここは何処なんだろう、自分の状況がよくわからない。
「…む、ぐ」
口の中に入っているのは恐らく布で、その隙間から僅かに自分の声が零れる。ああ、なんて息のしにくい……
「なまえ……」
「!」
低い、誰かの声が私の名前を呼んだ、気がする。あまりにか細い声だったから、幻聴かもしれないと一瞬疑うが、もう一度、確かに私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「……ん、ん?」
誰?と問いたくても、口から零れるのは小さな吐息だけ。こいつが、私をこんなふうにしている張本人だろうか。なんとなく、どこかで聞いたことのある声なような。
「もう、逃しはしないから」
「………っ!」
するりと外気に晒されている太ももを撫でられ、びくんと身体が揺れる。気持ち悪い、触れてほしくない。
「安心し給え、今は…何もする気はない」
今はってなんだよ、と心のなかだけで突っ込む。身動きが取れないようにしている時点で、既に何かしているようなものじゃないのか。
「もう君は学校へ行くことはできないし、遊馬に会うことも…ないんだ。私以外の目に触れることなど、決して赦さない」
遊馬。遊馬のことを知っているということは、遊馬の知り合い……?少なくとも、私と遊馬がよくデュエルをする仲だと知っている人物…………
「よかれと思っても、君をここから出す気などもうないんだよ」
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