薄明かりに浮かぶてのひらに


    時の縁に導かれた
    朧の拍動
    追憶の先に若獅子
    廉潔の裏側
    翳りは幻想
    満たされない距離
    記憶に滲む生傷
    掻き分けた闇の隙間に口づけを

    薄明かりに浮かぶてのひらに
    無情の獣
    鼓動を切り裂く切先
    眩んでやまない
    お前は息苦しいほど美しく
    見知らぬ幕開け
    まどろみの迷子
    腹の中に地獄
    認められない光景
    差し伸べられた手がまた霞む

    彷徨い果てに紡がれた縁
    亡霊に誘われた先に
    妄執の獣
    振り払われた手のひらが冷たい
    錆びつき軋む感情
    満たされないと蠢き喚く
    灯火が揺らぐ時

    蒼穹に獅子
    誰も虐げられる事のない夢
    躊躇いも迷いも呑み干して
    光差せば影が落ちるように
    重なる事なく突き立てる
    代償の傷痕
    痛みさえ幾千でも抱くから
    導きの手を握って
    途切れる事のない約束を


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