ナルトとサクラちゃん恋人設定




「サクラちゃん」

泣く気何て微塵もなかった。二、三日其処らで終わる長期任務で、感動の再開も何もない。私の中の予定では、冗談混じりにドジ踏まなかったでしょうね、と声を掛けてから、今日の夕飯の行く先を話す、そんな軽い内容だった筈だった。

「サ、サクラちゃん、どうしたの!?」
「…分かんないっ」

軽い擦り傷を至る所に拵えて、おまけに顔も煤だらけ。里に戻ってから一番にサクラちゃんの下に来たんだ、と笑顔で話す様子に、何故だか熱いものが喉を込み上げて来た。
この二、三日ナルトが恋しくなかったと言えば、嘘になる。とても面倒なことに、恋とは離れる距離と時間の分だけ恋しさと不安を募らせて、心を苦しませてしまう。まるで、依存症状の様に。
けれど、私とナルトの距離と時間を引き裂いたのは、ほんの二、三日。時間にすると約72時間。心を苦しくさせる程の時間でも、距離でもなかった筈だ。
それなのに。私の名を呼ぶ優しい声だとか、私の頬を愛おしそうに撫でる手だとか。普段、一緒に暮らしていると気付かないものが途端に鮮明に見えて来て、あぁ、愛されているんだな、と実感さえざるを得なくなる。

「どうしてか、分かんないけど、何か、」
「うん、ゆっくりで良いってばよ」

埃っぽい忍服は頂けないが、背中に廻される逞しい腕に身を任せ、ナルトの匂いを肺にいっぱい吸い込んでから、心なしか細い声で愛を語る。

「何か、急にね、私ってこんなにナルトを、愛してたんだって、思ったら、凄く苦しくなったの」

後は、愛しい彼からの、力一杯の抱擁を受け止めるだけだ。





溢れて





∵ 好きが溢れ出ちゃったサクラちゃん。この後、ナルトはみっともなく号泣すれば良いと思う。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -