慈しみが人魚を殺すなら
害虫
乾燥肌
あの時聞こえた、枯れた歌声は、
泣かぬなら殺めてしまえ


オルゴールは鳴り止んだ
電子妖精は水面で踊る
自我を保てなくなった土人形はやがて
だから少女は木を植えた
丸い瞳は首を振る


木漏れ日の奥へと消えていった
男は何を思って銃口を私に向けたのか
荒い息は錆びた血の匂いで
獣の吐息は加速してゆく
動けない私に向かって
それは確かに向けられていて



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