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昨日の夜は半兵衛と電話をして
少しの間でも佐助のことを忘れてしまっていたけれど
学校に行かなくちゃいけないし
同じ教室に居なくちゃいけないから
結局佐助と顔を合わさなければならない

そろそろチャイムが鳴るから教室にあがらなきゃいけないのに
なかなか足が階段に向かってくれない
職員室の横で間誤付いていると、横から声をかけられた


「名前ちゃん、おはよ」
「おはよ…ぉ………えぇっ!」


さっ佐助!
あれ、でもなんかすごい普通なんですけど
びっくりして損した。って言いたいくらい普通なんですけど


「ん、どうかした?」
「なななななにもないですっはい、お騒がせして申し訳ありませんでした!」


ぶんぶんと首が取れてしまいそうなほど横に顔を振ったら
佐助の手が自分の視界に伸びてきて
思わず動けなくなり、息を飲んだ


「っ」



触らないで


「おはよう。猿飛君、苗字君」
「おはようございます、竹中先生」


ぎゅっと強く瞑った瞼をゆっくりと開けると
私の頬に触れようとした佐助の手は先生の手によって阻止されていた
ちょうど職員室から出てきたのか、
急いできてくれたのかは分からないけど
よかった…先生がきてくれて


「今日少し話したい事があってね、準備室まで来てくれるかな?」
「話したい事があるならここでおっしゃったらいいじゃないですか」


後ろには先生、前には佐助に挟まれた私はそろりと横に出ようとしたが
その手首をまたもや佐助に掴まれた
よみがえるのは
昨日の記憶


「やっ!」
「猿飛君」


私の手首を掴む手を叩き落し
先生は綺麗に微笑んだ


「そう無闇に女性に触るものじゃないよ、嫌がっているじゃないか」
「それを先生が言えますか?」


佐助は胸ポケットから取り出した写真を人差し指と中指で挟み
頭の高さまで上げて先生につきつけた
それは私が先生から抱きしめられている写真
私は先生が手にする前に思わずその写真を奪い取る


「どうしてこんなものっ」


佐助がこれを撮ったの?いつ
これが誰かの目に触れれば先生は、半兵衛は学校に居られなくなる
どうしてこんな酷いことをするの


「何が望みだい?」
「何って、分かってるでしょ」


にこりと何か楽しそうに笑う佐助を怖いと思った
私の知らない佐助
確かに高校で初めて会った人だったけど、少しは佐助を知っていたつもり
なのに
私は知らない、知らなかったこんな佐助を昨日まで


「名前だよ」


どうなっちゃうの
私と先生
やっぱり結ばれてはいけない関係だったの
私のせいで先生に迷惑かけてる、先生
先生
私どうしたらいいの






恐怖に震える瞳
(そんな君も好きだけど)
(俺様が欲しいのは笑った君なんだよ、って)
(今は誰にも言える立場じゃないのは分かってる)












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