※ジェイク後・能力減退前のどこか
※バニーがプレイボーイ




 バーナビーは女の趣味までひねくれてる。
 とは、虎徹の言葉で、見解だった。

 本日は、ヒーロー7人であるスポンサー企業の新商品PRの営業だった。
 しかし昨日、タイミングが悪いことに、バーナビーとモデルの彼女との破局報道が世間を賑わせた。さらに悪いことに、その報道がまごうことなく真実だったので、色めきだった報道陣が会場に詰めかけたのだ。(なので、ひょっとしたら企業側が仕掛けたネタだったのかもしれない。)
 結局、このままではPRもままならない、とのことで、他の5人のヒーローにメインの営業をお願いして、タイガーとバーナビーは最後に少し挨拶だけ、と段取りを変更したのだ。
 そんなわけで、舞台袖でパワースーツを着たまま絶賛待機中の2人だったのだが。バーナビーの女の愚痴を一通り聞いたところで、虎徹は以上の見解を述べた。

 虎徹の知る限りで、だが、歴代の恋人は全て、我の強く、自己主張の強い女だった。自分好みの香水を振りまいて、化粧も派手に、服もTPOに合ってはいるがアーティスティックなものを纏う女ばかりと付き合ってきた。
 男受けする露出の高い服を着て、ナチュラルメイクに仕上げて石鹸の香りのする女なんてロクな女がいない、とはバーナビーの持論である。
「それだけ作りに作り上げて、ありのままの私はこれです、偶然男の好みに仕上がった私を愛してください、だなんて。寝言は寝て言えと、思いません?僕は、自分のために着飾る女のほうが好きだ」
「ほら、ひねくれてる」
 虎徹は、お前は女に夢見てないようで夢見てるよな、とバーナビーを幼稚だと鼻で笑った。
「お前の言う、ありのままってなんだよ。最低限の身だしなみは別として、眉毛はボーボー、いつでもすっぴんで、服も安くてダサいSPAファッションしか着ない女のほうがよっぽどありのままだろ?自分のためだろうが着飾ってる時点で、そうは呼ばんわ」
「…ひねくれてるのはどっちです?」
 そんなの屁理屈だった。
 不満げなバーナビーを無視して、勘違いするなよ、と虎徹は自分勝手に続ける。
「そういう女が悪いってわけじゃない。女なんざ、努力してなんぼの生き物だよ。努力と見栄で、女は女に成るんだ。ただの食わず嫌いだと思うぜ、それ。男のために着飾るのか自分のために着飾るのかって本質的には同じだもん。つーか、剥いて食ったらどっちも味は一緒だって」
 なんとなく、男からしたら嫌な話だった。バーナビーは顔をしかめる。しかし、屁理屈ながら、本質をとらえた、筋の通った話ではあった。
 つまりは中身の綺麗な女などこの世に存在しない。ということだ。
 オチは下ネタだし。

 今日はなんだかやけに突っかかてくるな、とバーナビーは思う。
 たぶんこれは、あれだけロイズから口酸っぱく言われていたのに、また性懲りも無くゴシップ紙にすっぱ抜かれたバーナビーに怒ってるのだろう。まだ彼女と組んで半年にも満たないのに、いく度となくすっぱ抜かれてはマスコミに一々追っかけ回されてる相棒を持っては、溜まったものじゃないだろう。
 実際この通り、仕事に支障が出てるし、今回もバーナビーが10・0で悪いのだが。
「はいはい、素晴らしいご高説どうも。でもあなた、そんなこと言って、ブーメラン突き刺さってません?」
 それでもここまで言われっぱなしなのも腹立つので、嫌味を言ってやりたくなるというものだ。男に媚びるわけでもなくオシャレにも程遠い虎徹から言われる話ではないと思った。
 だがしかし。そんな嫌味もなんのその。
 虎徹は、まさかぁ、とわざとらしくにんまり笑った。

「俺は、愛する旦那と自分のために、十年前からとびっきりに着飾ってるもーん。−−ほれ、最高のドレスアップだろ?」
 そう言って、虎徹は得意げに着ているヒーロースーツを掲げて、戯けてみせた。

 −−なるほど。確かにヒーローの彼女は、一等綺麗に見える。

 そこまで、ふっと無意識に、頭に浮かんできて。バーナビーはハッとした。
 確かにヒーローとして彼女を尊敬はしているが。この口うるさいババアを、一瞬でも綺麗だ、とか。
 いやぁまさか。ないない。
 そう慌てて首を振って馬鹿な考えを打ち消したのだった。





(そしてドツボヘ)



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