短い



ハア、とため息が落ちた。
お願いだからさ、と、冷めきった声が続く。

「ほんとに、死んでくれない?」

痛い、と呻いたナマエは、どうやら頭をぶつけたらしい。それに、はっとして、どうやらナマエを押し倒したらしい、と気づく。
俺ちゃんを睨むなよ。悪いのは、ナマエじゃん。
ちなみに、時間をちょっと巻き戻すと、ナマエってば、恥ずかしがっちゃっていつまで経っても、俺ちゃんに鍵くれねえからさ、寝室の窓の鍵ぶっ壊して、ナマエがソファで雑誌片手にくつろいでるリビングにお邪魔したところ。ナマエお気に入りのマグに入った甘ったるいココアを一口頂戴したところで、ナマエから一言頂戴したってわけ。

「…………なに、これ」

震えた声で言うナマエ。そりゃナマエには、ヒーファクとかねえから、首に突きつけられた銃の引き金を俺ちゃんがちょっと間違って、引いちゃったら即死だもんな。

「愛するナマエちゃんの頼みだったら、頑張って死ぬ努力してもいいんだけど。痛いもんは痛いし、割に合わないってか、まだナマエの処女もらってないじゃん?だから、このままナマエ犯して、それから殺して、そんで、死のうかなあ、と思って」
「は、」
「大丈夫、死ぬほど良くしてあげるって。俺ちゃんまじでそっちのテク、カンストしてっから。あ、どうせなら腹上死する?ナマエ好きなの選んでいいよ」

黙ったまま、呆然と見上げてくるナマエに、今度は俺がため息をつく番。
乱暴にマスクを脱ぎ捨てれば、ひ、とひきつれた声をあげた、かわいそうなナマエ。
ヒトの皮膚をなくした唇で、柔らかい輪郭をたどって囁く。

「――おせぇんだよ、ナマエ」
「っ、」
「ちゃんと考えてたんだぜ?ナマエがこの顔怖がらないように。あれこれステップ踏むつもりだったけど。俺、堪え性ないの、知ってるだろ?なあ、習うより、――慣れようぜ」

ルームウェアを剥ぎ取って、ナマエの口をふさいだ。ひきつれた悲鳴がくぐもって、それだけでゾクゾクしちゃう。
俺ちゃんがおかしいって?
別に、愛してるだけじゃん。



ねじはどこかへとびちって

頑張って死ぬから、地獄で待っててくれよ?