大掃除




昨日僕は学校を休んだ。
最近寒くなっていたせいで風邪を引いたのだ。
僕は毎年この時期に風邪を引いて二、三日学校を休む。
今年はたいしてひどい風邪ではなかったために一日安静にしていたらすぐに熱は下がった。

「不二っ。もう平気なの?」
「英二。もう大丈夫だよ。」
少し心配そうに僕の顔を覗き込んだ英二に僕は微笑んだ。
「昨日一日のノート、俺不二の為に綺麗にとってやったんだ。」
「へぇ。じゃあありがたく貸してもらおうかな。」
「で、ちょーっとお願いがあんだけど。」
少し、嫌な予感がした。
「何?」
「部屋の片付け、手伝ってもらえない?」
なんだ、そんなことか。
てっきりもっと凄いことかと思ったよ。
確か英二の家はちゃんと片付けられていたはず。
英二の部屋も、決して綺麗とはいえないけど桃の部屋ほどは汚くない。
「いいよ。お安い御用。」
「やった!不二、マジさんきゅっ!」
「で、いつ手伝えばいいの?」
「今日。」
「分かった。じゃあ業後に英二の家に行くね。」
「おうっ!」








で、なんだろう。
ここは。
僕、桃以上に汚い部屋、初めて見た。
思わず鞄を落としちゃったよ。
だって、床が、見えない。
これ、確実に何層かになってるよね。







「英二、ここ、本当に部屋だよね?」
「決まってんじゃん。」
「やっぱりそうか。僕てっきり間違えてゴミステーションに来ちゃったのかと。」
「まぁ、そう見えなくもないな。うん。」
「ごめん、英二。僕帰ってもいいかな。」
「頼む、待って!!」
僕は鞄を拾って回れ右をした。
英二が僕の服の裾にしがみついた。
「……ごめん、手伝って。切実に。」
「……………………わかった。」


とりあえず、気を取り直して大雑把にゴミだけを袋に詰めてゆく。
床に散乱したゴミやら何やらを一つ一つ拾ってゆく。

「これ、いるの?」
「あ、いらない。」
「これは?」
「捨てて。」
「こっちは?」
「ゴミゴミ。」
「これも?」
「うん、ゴミ。」
「じゃあこれは?」
「いらねぇ。」

僕は英二の頭を掴んだ。
「あのさ、全部ゴミなら床じゃなくてゴミ箱に入れろ。ね?」
英二の頭がミシミシと音を立てた。
「い、痛っ…。分かった。不二、ごめん。痛い…。分かったから。」
僕は英二の頭を放した。
英二は頭を抱えてうずくまった。
「不二、ひでぇ。」
ちょっと涙目になっていた。
僕はほんの少し気分がよくなった。

「じゃあ片付けを再開しようか。」
「う、うん。」
英二はずっと無言でもくもくと掃除を続けた。
おかげで大分片付けがはかどった。




「終わったー!」
「お疲れ様。」
「不二も、ほんとありがとな。」
「どういたしまして。もう次はないからね。」
「うんっ!もう散らかさない。っつかゴミ箱に入れる。」
「そうして。」


英二の家を後にして、なにか違和感を感じた。
これと同じ種の疲労感を感じながらこの道を歩くこと。
デジャヴというのか、初めてじゃないような、そんな感じ。



そういえば、去年の今頃も、こんなことがあったけ。



僕は思わず英二の家を振り返った。
これは、絶対来年も掃除を行う気がする。
そういえば去年もノートを借りる代わりに掃除を手伝わされたんだ。
勘弁、してよ。
そりゃあ確かに世の中キブ&テイクって言うけどさ。
英二、ギブとテイクが釣り合わないから。

僕は、来年は絶対休むまいと心に誓った。





END+++++




去年1番最後に作った話です。
UPしたのは今年1番最初でしたけど。
ある意味で年をまたぎました☆
大晦日に掃除をしながら作ってました(笑)
きっと来年も英二と不二は一緒に掃除をしてると思います。

ってゆうか28サイトなのに1番最初の更新が28じゃないってどうなんでしょう。
(06.01.02)

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