ハモノ




彼の笑顔。
えがお。




愛して止まない。
愛して病んだ。


彼は俺を抱いた。
何度も。
なんども。
気が遠退きそうなほど。


「愛してる。」



そう、囁きながら。

まるで、どこまで堕落できるか確かめているよう。
彼に、依存しすぎて。
もう何も見えない。



「愛してる。お前の体液から全部。」

俺も。
俺も愛してる。

「もう、気ぃ狂いそうやわ。」
「とっくに、おかしい。」

彼は、俺の血までも。
血液までも愛してくれると言った。

「えぇよ。アゲルさかいに。」


俺は親指の付け根をカッターナイフで切り裂いた。
鮮血が、零れ落ちる。
綺麗な、キレイなアカ。



彼はうっすら微笑うと、俺の傷口に口付けた。
舌先が、妖しいほどに紅い。

俺の血のせいか。
彼の体温が、上昇しているせいか。



もしくは両方か。






痛みなんて感じない。
あるのは喜びだけ。





俺の血が。
血液が。
彼の体内に取り込まれて。
養分となって一つになる。


あぁ、なんて恍惚。




指先が、ピリピリと痺れてくる。
見れば、白っぽく色を失っていた。




出血多量。
このまま彼に殺される。
なんて幸せ。

好き。
愛してる。


文字通り、死ぬほど。



彼が口を離した。
唾液で薄まった血液が、紅く糸を引く。

「甘い。」

彼がワラった。



背筋がぞくぞくした。




彼は俺が使ったカッターナイフを拾い上げた。

「俺の血も、くれてやるよ。」

ニッと笑う、嗤う。
彼は俺がそうしたのと同じ所にカッターナイフをつき立てた。
鮮血が、零れ落ちる。
堕ちる。
俺は迷わずそこに口を寄せた。




――あぁ。
死に物狂いで彼をアイしてル。




END+++++




忍足から跡部へ。
命がけの愛を捧げます。

おっと。
完璧に流血してますね☆
まぁ、軽い方ですし大丈夫でしょう!(軽)
カッターナイフ、ちょっと血を出したいとき。
きっと、一番適役だと思いますよ(何ソレ)
(06.01.21)


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