02.臨界点


2:臨界点++


「我慢にも限界っちゅうのがあんねんで」

凍った笑顔で言い放つ、それは臨界点の突破。

「うるせぇよ」


忍足と跡部は向かいあって座っている。
その間には一本のルージュ。
先ほど跡部の制服のポケットから転がり落ちたものだ。
運悪く忍足が拾ったそれは、明らかに女物。

『跡部、ちょっと』

で始まったそれは二人で行われる緊急会議。
俗に言う、修羅場だ。

「明らかに女物やんなぁ?あっかい口紅」
「だからお袋のだっつってんだろ」
「なんでおかんの口紅、跡部が持ってくるん。マザコン?」

その言葉に流石の跡部も露骨にムッとした表情を浮かべる。

「ちげーよ馬鹿。どうせお袋が勝手に入れたんだろ」
「なんのためによ」
「しらねぇよ。あいつの考えてることなんてこれっぽっちもわかんねー」
「ふーん?」

跡部の言葉に忍足は小馬鹿にしたような返事を返した。
それが跡部を信用して返したものでないのは誰の目にも明らかだ。

「ほんなら、聞いてや」
「は?」
「今すぐ、お袋さんに聞いてや。理由」
「ば……嫌に決まってんだろ!後にしろよ」
「今すぐや!!!」

滅多に声を張り上げない忍足が怒鳴ったことに、跡部は一瞬唖然とした。
その後バツが悪そうに携帯を取り出すと、忍足の監視の下、母親を呼び出す。
忍足は、その国際電話の様子を絶対零度の微笑で眺めていた。


「忍足先輩、ここが部室ってこと完璧忘れてますよね」
「侑士、怒ると怖いんだな。覚えとこっと」
「つーか跡部、激ダサだな……」
「え、なになに?今の怒鳴り声忍足?目、覚めちゃったC」
「まさに下克上っスね」
「忍足もやるねー」
「ウス」

その様子を眺めていたレギュラーの面々は、各々感想を述べた。












++++

お題配布先はこちらです。


- 2 -


[*前] | [次#]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -