不愉快だ。母さんは俺の母さんであって、父さんの母さんじゃない。父さんは母さんは俺のだとか言ってたけど、そんなの俺は絶対に認めないからな!

「サクラ、ん」

俺がリビングで母さんが貸してくれた本を読んでいると、父さんが自分の隣のソファの空いた部分をトントンと叩いた。俺は何がしたいのか分からなかった。母さんもそれは同じみたいで、首を傾げながらこっちに来た。

「なぁに?」

「ん」

母さんが父さんの言う通り、ソファに座る。すると父さんは母さんの膝に、というより太ももに頭を乗っけた。つまり、膝枕。

「父さん何やってんだよ!」

「何って、膝枕だろ」

「そうじゃなーくーてー!」

俺は反論しようと前に出たけれど、おでこを押さえられて進めない。しかも父さんの腕の方が長いから、拳も届かない。こういうの、なんだっけ、滑稽っていうんだっけ。

「サスケくん、どうしたの?」

「眠い」

「眠いだけなら布団で寝ろよっ!」

母さんが父さんの頭を撫でるもんだから俺はますます不愉快。そりゃ、父さんと母さんは"夫婦"だから仕方ないと思うけど…。

「母さんは俺と父さんどっちが大切なのさ!」

「私は二人とも大事よ?」

やっとおでこから父さんの手が離れたから、母さんの隣に座った。母さんの服の裾を掴むと、母さんが頭を撫でてくれた。

「サスケくんがいないのも嫌だし、カイがいないのも寂しいもの」

「母さん…」

「よし!カイの好きなホットケーキ作ろうか!」

母さんの笑顔を見ると、何だか嬉しくなった。父さんが渋々起き上がったのを見ると、もっと嬉しくなった。母さんに抱きつくと、そのまま抱っこしてくれた。

「父さん」

「あ?」

「母さんは俺のだからね!」



(父さんには負けないよ!)


20100217



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