部屋はすっかり片付いて、年賀状も出し終えた。テレビでは毎年恒例の歌合戦が行われている。それをぼーっと眺めながら、こたつでくつろぐ。背筋をのばしているのも面倒になって、机に突っ伏す。 「だらしねぇ格好だな」 「いいじゃん、くつろぎたいの」 「くつろぎすぎだ」 サスケもこたつに入ると、同じようにテレビを眺める。違うのは、その手には温かそうな飲み物があるという点。 「自分だけずるいー」 「欲しいなら自分で淹れてこい。台所はすぐそこだ」 「こたつから出られない病なのです」 「そりゃ困ったな」 「ぶー、ケチ」 サクラは文句を言いながらサスケの足を蹴る。睨まれたような気もしたが、サクラは気にせずテレビを見続ける。その様子に苛立ったのか、サスケは負けじと蹴り返す。 「…何するのよ」 「あ?悪い。足当たったか?」 「当たったんじゃなくて、当てにきたんじゃない」 「お前が先だろ」 「蹴ったって認めるのね」 「そっちこそ」 睨み合いを続けること数分。その状況が可笑しくなったのか、サクラがふるふると肩を震わせはじめる。そして堪え切れなくなったのか、ぷっと吹きだし笑い出す。 「あはは、変なの!」 「今のお前以上に変なものはねぇよ」 「蹴ってごめんね。あー、おかしい」 「……」 「お茶淹れてくるね」 そう言いこたつから出ていくサクラを、サスケは引き止める。何?と振り返るサクラを構うことなく引っ張り、胡座の上に座らせる。 「え、何?」 「あんな軽い謝罪で許すと思うか?」 「はい?」 「今年もあと少しだしな」 「?」 「姫納めといくか」 「…は?」 「来年もよろしくな」 「あ、うん。よろしく…っていやいや!」 暴れているうちにリモコンに当たってしまったらしく、テレビの電源が落ちた。 20111231 |