「こんなもんでいいかな。」

立ち上がり、すっかり綺麗になった部屋を見渡した。普段から綺麗にするよう心掛けてはいるが、細部までには至らない。やはり、新年を目前にすると、気合いの入り方も変わるわけで。普段掃除しない部分を中心に、家中を徹底的に綺麗にした。空気の入れ換えのために開けた窓からは冷たい風が入ってきていた。身震いしながらその窓を静かに閉めて、何か暖かいものをとキッチンに移動した。するとそこにはすでに先客がいて、マグカップが2つ用意してあった。

「ん。」
「ありがとー。中身なに?」
「ホットミルク。」

マグカップを受け取り、ソファーに座る。舌を火傷しないように冷ましていると、隣に彼も座った。私とは違い、そのままズズ、とコーヒーを飲んだ。

「サスケくんの方は掃除終わった?」
「あと少し。そっちは?」
「終わったよ。手伝おうか?」
「頼む。」
「それじゃあ、これ飲んだら再開ね!」

私がまだ一口も飲んでいないのに、サスケくんは早くも半分以上飲み干していた。ある程度冷めたところで、私もようやく口をつけた。程よく冷めたホットミルクは、疲れた体によく染み渡り、思わず目を閉じた。

「サクラ。続きするぞ。」
「ちょ、ちょっと待って!」

残りのホットミルクを勢いよく飲み干すと、すでに掃除に向かった彼の後を追った。

「もう今年も終わっちゃうね。」
「そうだな。」
「なんかあっという間だったなぁ。」
「そんなもんだろ。」
「きっと、すごく素敵な一年だったのよ。」
「?」

気づかぬうちに、私は笑っていたらしい。サスケくんが私の方を見て、怪訝な顔をしていた。

「変な顔。」
「サスケくんひどい!」
「にやけてる顔に変な顔と言って何が悪い。」
「今年、サスケくんと過ごせたから素敵な一年だったなぁって思ってたの!」

勢いで言い切って、ハッと我に返ってサスケくんの顔を見る。私は今すごく、恥ずかしいことを言ったような気がした。顔に熱が集まるのを感じていると、サスケくんの頬も同じように赤くなっていた。

「よくそんな恥ずかしいこと…!」
「わわ!今の、何て言うか!その!でも本当のことだし!」

二人して顔を赤くしている状況に、どちらともなく笑いがこぼれる。

「掃除の続きしよっか?」
「あぁ。」

気合いを入れるため、腕を捲り直すと、雑巾をかたく絞って窓を拭きはじめた。


A HAPPY NEW YEAR!
(二人にとって、良い年になりますように)


20101231







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