「私ね、うちはくんのこと好きなの。付き合って、くれない?」

私は見てしまった。サスケくんが、告白されている現場を。あぁ、本当に運が悪い。知らぬが仏という言葉もあるほどなのに、私は知らなくてよいこと知ってしまった。
そして、見なくてよいことも。

「うちはくんが春野さんと付き合ってることは知ってるよ?でも私、春野さんよりも、うちはくんのこと好きなの」

女の子が、サスケくんにキスをした。

サスケくんは抵抗するわけでも、何か言うわけでもなく、為されるがまま。どうして?どうして、何もしないの?ノートを抱える腕に力がこもる。ノートを落とすなんて、初歩的ミスはしない。サスケくんに気付かれちゃダメ。ウザいって、言われちゃう。

「私の気持ち、伝わった?」

そう言って微笑む女の子はとっても可愛くて。制服の着こなしは完璧だし、メイクをしてる顔は私の数百倍素敵。私みたいにおどおどしてなくて、明るい、きらきらした女の子。…敵うわけ、ないじゃない。サスケくんだって、きっと。私なんかより、あの子のことを好きになってしまったに違いない。誰が悪いなんてない。不可抗力だもの。
私は足音をたてないようにその場から移動し、廊下を駆けた。

翌日、私はサスケくんを呼び出した。泣くな、私。せめて最後くらい、可愛くさよならしなきゃ。付き合えていたことが奇跡なのだから、そう。今までどおりの生活に戻るだけ。
サスケくんにさよならを告げると、何で、理由はと聞かれた。そうやって気を使ってくれる優しい所、好きだったよ。嫌いになんてなれない。だから。

「…好きだから、別れるの」

Only you.
(私の幸せはあなただけなの)



another→君しかいらない


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