最近まともに
彼女と会話すら出来ていない。
それもこれも
アイツがモテるからだ。



●側にいる=大きな幸せ●



イライラする。
お前等誰に話しかけてるか分かってんのか?
「春野、悪ィ、ノート貸してくんね?この前の授業寝ててさぁ。」

嘘つけ。
お前は学校一の真面目野郎で、無遅刻・無欠席・無欠課・無早退だろうが。
なのに

「はい、ちゃんと返してね?」
「おう!」

なんて会話してやがる。
この野郎…

「おい、サク…」
「春野先輩ー!」

俺が話しかけようと試みてもコレだ。
何やら1年の女子がサクラに向かって駆けていってる。

「あの、昨日これ作ってみたんですけど…」
「え、私に?」

サクラは甘いものに目がない。
コクコクと頷く後輩に、サクラは目を輝かせながらその後輩の手をとる。

「ありがとう!」
「いえっ、そんな…!」

途端、その後輩は顔を赤くする。
そして駆けていってしまった。

「サックラー!」

そして、彼女の親友

「あ、いの」

女同士だと、やはり会話が弾むのだろうか。
とうとう予鈴が鳴ってしまった。

「あちゃー、教室戻るわ」
「うん、ばいばい」

授業開始まであと3分というわずかな時間に、サクラに近づき、そっと囁いた。

「放課後、俺ん家来い」




──…

空はすっかり赤く染まっていた。
大人しく俺の家へと来たサクラ。

「あの、サスケくん?」
「ん?」
「その…」

自分がこの家に招かれた理由が知りたいのだろう。

「こうやって話すの…久しぶりだな」
「う、うん」

サクラの髪をいじりながら囁く。
それだけなのに、サクラは頬を染める。

「俺、今すげー幸せ」

愛しいその唇に、触れるだけのキスをする。

「…寂しかった?」
「ん」

愛しい彼女を、己の腕の中へと収める。
甘い香りがした。

「ごめんね?」
「ん」

背中へ回した手に、力を少しだけ込める。

「明日の部活帰り、デートしよっか」
「…一緒にいられれば、それでいい」

そう言い、彼女の額、瞼、唇に唇を落としていく。

「ふふ、くすぐったぁい」

そう言う彼女はとても可愛くて。

「…?サスケく」

優しく、優しく、そっと。
彼女の唇を塞いだ。



「…甘えん坊」
「うっせ」



願わくは

このまま彼女と

甘い時間を―…





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