キーンコーンカーンコーン…

ガラッ

「先生、頭痛い」



●誰も知らない秘密の恋愛●



授業開始の鐘の音が校内に鳴り響く中、ある部屋の扉は静かに開いた。

「…またうちはくんなの?授業出なくちゃダメじゃない」
「頭痛くて集中出来ねぇ」
「嘘ばっかり」

そんな会話をしながら、生徒…うちはくんと呼ばれた青年はベッドに寝転がる。

「サボるために、保健室を使わないでくれる?」
「頭痛いんだって」

眉間に皺を少し増やし、青年はゆっくりと上体を起こす。

「まったく、うちはくんには困ったものね」
「名前で呼べよ、サクラ」

サクラと呼んだ女性の髪をいじりながら、青年は顔をニヤつかせる。

「うちはくん。先生、でしょ?」
「名前で呼べよ」

青年はサクラの白衣をひっぱり、唇を重ねた。

「呼べよ、サクラ」

再度、唇を重ねる。

「う、うちはくん!何するの!」
「何って、キス?」

してやったりな笑顔を浮かべれば、彼女は顔を真っ赤にさせる。

「だ、大体私とあなたは先生と生徒!こんなことしていいと思ってるの!?」
「3つしか違わないじゃん、歳」

研修生のため、歳はさほど違わなかった。

「もう少し、このままでいたい」

そういいながら、サクラを抱きしめる。

「ちょっ…やめなさい、サスケくん!」
「やっと呼んでくれた」

本日2度目のしてやったりな笑顔を浮かべる。

「…愛してる」

今度は、深く口づけた。

「…嘘ばっかり」

保健室に、爽やかな風が舞い込んできていた。



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