「サスケく〜ん」 「なんだ?」 「離れて」 「無理だな」 暑くも寒くもない丁度いい気候。 頬にあたる風が心地よい。 …本来ならばの話だが。 「いい加減放してよ。これじゃ、何も出来ないじゃない」 「…何もしなくていい」 「もうっ!」 サクラは、自分を拘束している大好きな人の両腕から逃れようと試みるが、挑戦も虚しく失敗に終わった。 「どうしたの?今日はやけに甘えるのね」 「何もやる気が起きねぇんだよ…」 「五月病かしら」 「…何だそりゃ…」 適当に返事をしつつ、サクラの柔らかい髪に顔を埋める。 「今のサスケくんみたいな状態のことー」 「ふーん……」 刹那、サスケは考えたあと、サクラの耳元で囁く。 「…じゃあ俺は五月病じゃないな。」 「へ?」 「だってヤる気満々だし?」 暑くも寒くもない丁度いい気候。 頬にあたる風が心地よい。 「サスケくんのバカー!!」 透き通る空に、一人の少女の声が響いたとか。 |