貴方の瞳には 誰がうつってるの? せめて 今だけは ●どうか私とワルツを● 「サスケくん」 呼びかけても、応答がない。 どうやら彼は、書物に集中しているようだ。 「サスケくん」 二度目の呼びかけ。 彼はゆっくりと此方に目を向けてきた。 「何だよ…」 早く書物に集中したいのか、眉間に皺がよった。 「サスケくんってさ、私のこと、好き?」 「…は?」 身を乗り出してきたから、どれほど重要な問いかと思えば。 拍子抜けしてしまった。 「頭打ったか?」 「まさか」 額に手をあて、熱を計るも、体温に異常はなかった。 「サスケくん、この前女の子と喋ってた」 「あ?」 「楽しそうに」 楽しそうに? まさか。 少し嘘を混ぜておいた。 「で、サスケくんは、私のこと、好き?」 青年は、更に眉間の皺を増やした。 「何でそんなこと聞くんだよ」 「サスケくんは、私のだもん」 彼女がさらりと言ってのけた台詞は、再び彼を拍子抜けさせた。 「だから、あんまり他の女の子と仲良くしないで」 無理って、分かってるけど。 そう、付け足しておいて、彼に抱きつく。 「…分かった」 彼も抱きしめ返してくれた。 その居心地のよさに、安心する。 貴方の瞳に 私だけがうつればいいのに せめて 私が貴方の側にいるうちは どうか私とワルツを |