ただ、その一言を。




●Happy birthday to you●




「サスケくん、おはよ」
「…はよ」

いつもどおりの朝を、今日も迎えられたことに感謝する。
まだ夢の世界に浸っていたくて、瞼を閉じる。

「サスケくん?」
「…あと5分…」

そう言いながら、サクラをベットの中へ引っ張る。

「ちょっとー、朝ごはん冷めちゃうよー?」
「また温めればいいだろ…」
「もう」

と言いながらも笑いながら抱きついてくる。
そんな彼女を抱きしめ返す。

「サクラ」
「ん?なぁに?」

猫のようにじゃれついてくる彼女の額に、そっと口づけする。

「誕生日、おめでとう」

普段云えないこんな台詞があっさり言えたことは、寝ぼけていたということにしておいて。

「サスケくん…覚えててくれたの?」
「ん…まぁな」

恥ずかしくて

もどかしくて

目を閉じて、寝たふりをしてみる。

「ふふ…ありがとう」

お礼を言いたいのはこっちの方だ。

生まれてきてくれて

こんな俺の側にいてくれて

いつも笑顔でいてくれて

ありがとう

ありがとう

ありがとう…

「おめでと、サクラ」

そっともう一度囁いた。
どちらからでもなく、唇が重なる。

「ありがと、サスケくん」



来年も、どうか俺の側に…







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