くっそかったりぃ。
とりあえず誰でもいいからこの暑さを止めてくれ。




●幸福者●







「カカシ先生〜。暑いってばよー。これクーラーの温度下げれねぇの?」
「27度までしか下げれないよ。エコだ、エコ」

只今授業は4時間目。
3時間目が体育だった俺達には、27度の教室は涼しくなかった。

「ほら皆扇ぐのやめて!授業に集中ー」

扇ぐのをやめてしまうと、一層暑く感じた。

エコがなんだ、今の自分達の生命維持の方が大事だろ。

などと心の中で呟いてみる。

「えっとどこまで話したっけ…。えーと、山中、53ページの6行目から読んで」
「はーい」

一回授業に集中すれば、いつの間にか暑くなくなっていて。
むしろ快適な状況だった。
そしてあっという間に時間は過ぎていき…。

「じゃあ今日はここまでねー。明日この範囲の小テストするから。起立ー、礼ー」



「サスケくん、一緒にお昼食べよ?」
「あぁ」

涼しい教室を出て、屋上へと向かう。
より一層太陽に近づくことになるが、風とおしがいいので影に入れば問題ないだろう。

「サスケくんさっきの授業寝てたでしょー」
「寝てねぇよ」

「嘘ー。私寝顔見ちゃったもん」
「何っ!?」
「うっそー」

楽しそうに笑う彼女。
暑さなんて気にならないみたいだ。

「あ、そうだ。サスケくん」
「ん?」
「お誕生日おめでと!」

差し出された青い箱。
綺麗にラッピングが施してある。

「誕生日…?」
「サスケくんの、誕生日。忘れてた?」

最近大会とかで忙しかったからと相変わらず笑っている。

「あけていいか?」
「あ、うん。どうぞ」

丁寧に包装をはがし、中に入っていた箱をあける。

「気に入ってくれるとうれしいんだけど」

中に入っていたのはシンプルな腕時計。
そういえば先日腕時計をなくした、とシカマルに愚痴ったばかりだ。

「なくさないでね、それ」
「ありがとな」

頭を撫でてやる。

「もう、髪が…!」

なんて言ってやがるが、顔は笑ってやがる。
分かりやすい奴。

「サクラ」
「ん?」

そっと抱き寄せ、触れるだけのキスをした。

「俺、幸福者だな」
「サスケくん」
「ん?」
「生まれてきてくれて、ありがと」
「…ん」

甘くて儚くて
幸せな時間。

来年も、君の隣で…





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