「おかえり」
「ただいま!とりあえずシャワー!」

…あれ?



●シャワー>自分?●






「おい、サク…」
「あっつーい!夏って汗でべたべたになっちゃうから嫌だなぁ。バスタオルどこに置いたっけ」
「サクラ…」
「あったあった!シャワー!」

パタン、と静かに扉が閉まった。

「おかしい、何かがおかしい。」

サスケはそう呟くと、今までの流れを整理することにした。

サクラが帰ってきた。
出迎えた。
おかえりと言った。
ただいまと言われた。
サスケくんと…

「言われてねぇ!」

いつもなら"ただいま!サスケくん!"と言われるはずが、今日は言われなかった。
とりあえずシャワーと言われた。
そして、

「おかえりのキスしてねぇ…」

これはサスケにとって大問題である。
このキスからいつも自分のペースに持っていくというのに。

「とうとう愛想尽かされたのか…」

がっくりと項垂れる。
夏の馬鹿野郎、と叫びたかった。
もっとも、今一番馬鹿なのはサスケであろう。

「強行突破しかねぇか…」

決心を新たに、浴室へと向かう。


「シャワー最高!」

一方、サクラはシャワーを楽しんでいた。
その時、突然扉が開いた。

「サササササ、サスケくん!?」
「俺はそんなにサ多くねぇよ。」
「あ、ごめん。…じゃなくて!」

じりじりと縮まるサスケとの距離。

「どうしたの?」
「お前は俺よりシャワーか」
「へ?」
「…おかえりのキス」
「あ、それは、私汗くさいから…!」
「俺は構わん」
「私が嫌なの!
…サスケくんには、出来るだけ可愛い私を見てほしいもの。」

その言葉に、サスケは胸を撃ち抜かれた。

「サクラ、それ、今の格好分かって言ってんのか?」
「今の格好…?」

自分の体を見る。
先ほどまでシャワーを浴びていたわけだから当然、

「きゃあ!」
「覚悟出来てるな?」
「ストップストップストーップ!」



暑い夏はまだまだ続く。





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