「サスケ君?」 歩いていると、山中に出会った。最悪だ。 「何やってんの?今日任務じゃ…ん?」 ウスラトンカチと会ったときと同様、サクラは俺の後ろに隠れた。 「まさか…それサクラ?」 「ウスラトンカチと同じ反応するんだな、さすがウスラトンカチ」 「なんですってー!」 「お、おねーちゃん、だれ…?」 ちょこんと俺の影から様子を窺うサクラ。 表情は不安一色である。 すると山中は、サクラと視線を合わすようにしゃがんだ。 「お姉ちゃんはね、いのってーの。お名前は?」 「さ、サクラ…。はるの、サクラ」 「サクラか。甘いもの好き?」 「あまいの!すき!」 サクラの表情が花が咲くように笑顔になった。 親友だけにか、山中はサクラの扱いに慣れていた。 「家においで、プリンあるから」 「あ、でも…」 ちらちらとこちらを窺ってくる。行きたいが、俺の了承を得たいのだろう。 …そんな目で見られても、 「にーに…」 み、見られても…! 「だめ?」 「…行くか?」 「行く!にーに大好き!」 足にしがみつかれた。 きっと俺の決断は間違っていなかったのだろう。 サクラを抱き上げ肩車をすると、山中の後ろについて歩いた。 「あまーい!」 「よかったな」 「にーに!あーんして!」 「なっ!」 「してあげなさいよサスケ君。減るものじゃないし」 サクラを見ると、餌を待つ小鳥のように口を開けていた。 「…サクラ、ほら」 「あーん!」 幸せそうにプリンを頬張ったサクラ。本当に幸せそうである。 すると、プリンを乗せたスプーンがこちらに向けられた。 「にーに!あーん!」 「なっ!」 「してあげなさいよサスケ君。減るものじゃないし」 「お前な…」 山中はふふんと笑うと、店の奥に入っていった。 「にーに!はやくー!」 「分かったよ…」 口の中に甘ったるい味が広がる。顔をしかめたくなったがそこはサクラのため。意地で平然を装った。 「サクラー!これあげる」 騒々しく山中が何かを持ってきた。手の中には、赤いリボン。 「こっちおいで、つけてあげる」 「うん!」 慣れた手つきでサクラにリボンをつけると、頭を撫でた。 「にーに!サクラかわいい?」 「おう」 「えへへ…」 山中に倣い俺も頭を撫でた。 にこにこ笑うサクラは、いつものサクラの様だった。 「そろそろ帰るか」 「はーい!お姉ちゃんばいばーい!」 「ばいばい」 プリンを食べ、リボンをもらったことで満足したのか、元気よく別れを告げ、サクラは歩き出した。 |