「あけましておめでとうございます」 「ん」 改めて挨拶をされるのは、なんだか恥ずかしい。それも、改まった格好で。 正月だからと振り袖を着たがるサクラに合わせ、俺も着物を着た。 するとサクラは帯が分からないだのとぬかし、結局俺が手伝う羽目に。…普通、夫に手伝わせるものなのか? それでも着飾ったサクラは綺麗で、思わず見惚れた。 「ね!初詣行こ!」 「人混みは嫌いだ」 「…せっかく振り袖なのに、家でごろごろするのは嫌いだ」 「誰が着せてやったと思ってんだ」 むぅ、と口を尖らせるサクラは、出会った頃とあまり変わっていない気がした。餓鬼だ、餓鬼。 「着せてもらったけど…途中で悪戯してきたくせに」 「悪戯?何のことだ?」 分からない訳がないが、にやにやと笑いながらサクラに近寄る。 「…馬鹿っ」 「怒るなって」 「怒りますって」 完全に拗ねてしまったらしい。そっぽを向いたまま、つん、としている。 「…悪かったって。初詣、行くか?」 「…それで私の気をひいたつもり?」 「餡蜜もつける」 「!」 「どうする?」 「…私子供じゃないからいい」 考えを見透かされたらしい。ますます機嫌を損ねたサクラに、俺はどうしたものかと頭を捻る。 「サクラ」 「何」 「子供扱いして悪かった」 とりあえず謝ると、サクラは視線だけをこちらに寄越した。 「…まだ謝ること、あるよね」 「…悪戯して悪かった」 サクラは頬を仄かに染めると、やっと向かい合ってくれた。 「…許す」 「で、何したい?」 「…初詣」 「よし、行くか」 立ち上がり手を差し出し、サクラが立ち上がるのを助ける。着慣れない着物で立ち上がりにくいのか、よろめたところを受け止めた。 「…今年もよろしくね、サスケくん」 「あぁ、よろしく」 サクラの額に触れるだけの口づけをすると、サクラの手を引き初詣に向かった。 新春の喜び (今年も、俺の側で微笑んでくれますように) |